日銀の氷見野副総裁は、金融緩和の調整を先送りすればインフレが行き過ぎる可能性があると述べ、原油高の下流財への価格転嫁が比較的速いペースで進んでいると警告した。さらに、中東情勢の緊張緩和は日銀の4月の見通しと整合的だとした上で、緩和的な金融環境は当面維持される可能性が高いとの見方を示した。日銀はまた、政策金利の引き上げが企業や家計に与える影響も点検していく。
市場では、執筆時点でドル/円は0.11%高の161.45円。円の評価は、日本経済のパフォーマンスや日銀政策に加え、日米金利差(国債利回り差)やリスクセンチメントの変化に左右される。日銀はこれまで必要に応じて為替市場に介入してきたが、政治的な配慮から実施は限定的とされる。2013〜2024年の超金融緩和は政策の方向性の違い(政策ダイバージェンス)を通じて円安要因となった一方、2024年の正常化への動きと、他国での利下げが重なり、米日10年債利回り格差は縮小している。円はまた、市場が不安定化する局面で「安全資産」として扱われやすい。
インフレリスクと政策シフト
日銀は明確にトーンを変えつつあるとみられる。直近の政府統計では、2026年5月のコアインフレ率は2.7%となった。政策変更を遅らせれば物価上昇が過熱しかねず、日銀としてはそのリスクを容認しにくいようだ。特に、北海ブレント原油が1バレル=95ドル近辺で底堅く推移しており、消費者コストに波及している。
市場への影響とトレーディング戦略
ドル/円が161.45円と高水準にあることで、直接的な為替介入が選択肢として浮上する。こうした水準での介入は、2024年後半にも歴史的に意識されてきた。結果としてボラティリティ急上昇を見込みやすい環境であり、オプション市場でもその兆しが出ている。Cboeの日本円ボラティリティ指数は6カ月ぶりの高水準に上昇している。今後数日で当局者による口先介入(牽制発言)は強まると予想する。
こうした状況を踏まえ、当社は円高方向を想定している。米日10年債の利回り格差は、2026年5月初旬以降で既に25bp縮小しているためだ。このため、ドル/円の急落に備え、円コール(JPYコール)を買うことは、突発的な下落から利益を得るうえで有効な戦略となり得る。政策要因で相場が急変するリスクは、じり高が続く可能性を現時点で大きく上回っている。
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