EUR/USDは週明け月曜のアジア早朝取引で1.1460近辺へ小幅に下落した。米国とイランの緊張再燃を受けた安全資産需要に加え、米金利の先高観が米ドルの下支え材料となっている。もっとも、この動きはこの後予定される欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁の発言を前にしたものでもある。
米メディアによると、J.D.バンス氏が暫定的な和平合意の下でイラン当局者と初の協議を行う一方、トランプ氏はイランに対し軍事行動の再開を示唆する脅しを行ったという。これに対しテヘランは、ホルムズ海峡を再び閉鎖したと表明した。ユーロ圏では、ECB理事のピエール・ウンシュ氏が、インフレ圧力がエネルギー以外に広がる場合、早ければ来月にも追加利上げを1回実施する可能性があると述べた。ECBの預金ファシリティ金利は2.25%で、市場は9月または10月に25bpの利上げを織り込み、来年初めにもう一段の利上げが行われる可能性も見込んでいる。ECB理事会は年8回開催され、インフレ率を概ね2%に誘導することを目標としている。ECBは2009~11年、2015年、そして新型コロナ禍で量的緩和(QE)を実施してきた一方、量的引き締め(QT)は純購入および再投資の停止を指す。
Safe Haven Demand, Volatility, And Oil Market Risks
米・イラン情勢を背景に地政学リスクが高まるなか、典型的なリスク回避(安全資産志向)の資金フローが進み、米ドルが強含んでいる。これを受けてCboeユーロ通貨ボラティリティ指数(EVZ)は過去24時間で12%急上昇し、市場参加者が大きな価格変動を織り込み始めていることを示唆する。従って、このボラティリティ上昇から収益機会を狙う戦略を検討すべき局面だ。
ホルムズ海峡封鎖の脅威は大きな材料で、世界の石油供給の約5分の1が同海峡を通過する。歴史的に、こうした供給途絶リスクは原油価格の急騰を招き、世界的なインフレ圧力を強め、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢を補強し得る。足元の環境は、短期的に米ドル高が続きやすい。
今後数週間の戦略としては、EUR/USDの期近プット(売る権利)オプションを買うことに妙味があるとみる。下落局面での収益機会を狙いつつ、リスクを限定できるためで、とりわけ1.1400割れの重要サポートを試す局面では有効度が増す。これは足元のリスクオフ地合いに直接乗るトレードとなる。
ECB Prospects, Volatility Strategies, And Euro Positioning
もっとも、ECBの金融政策スタンスも織り込む必要がある。来月にも利上げが視野に入る可能性があるためだ。直近のユーロ圏消費者物価指数(HICP、2026年5月分)では、コアインフレ率が2.9%と依然高止まりしており、ECBには対応圧力がかかっている。これは、足元の米ドル高に対する強いカウンターフォースとなり得る。
ラガルド総裁発言を前に、相反する材料が同時に存在するため、方向感は読みづらい。イベントを取引する方法としては、オプションのストラドルなどボラティリティ戦略の購入が妥当とみる。このポジションは、発言後にEUR/USDが上下いずれかに大きく動けば収益が見込める。
また、商品先物取引委員会(CFTC)の建玉報告では、投機筋(大口投機家)のユーロのネットロングが減少していた。すなわち、今回のニュース以前から市場はユーロに慎重姿勢へ傾きつつあったことになる。したがって、イラン情勢が予想外に沈静化すれば、EUR/USDではショートカバー主導で急反発する展開もあり得る。
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