ポンドは週明け月曜のアジア時間早朝に下押し圧力を受け、英国の政治的不透明感が強まるなか、GBP/USDは1.3210近辺まで下落した。報道によれば、キア・スターマー首相(サー)は辞任の時期に関する工程表を示す見通しで、これが実現すれば英国は10年で7人目の首相に向かうことになり、後任としてアンディ・バーナム氏に道を開く可能性がある。今回の動きは米国発の新たなヘッドラインを受けたものでもあり、英国の閣僚が政治的課題に言及したことが「ケーブル」(GBP/USD)の短期的な売りを一段と誘った。
ドルは、FRB当局者によるタカ派的なメッセージを背景に支えられた。政策担当者は先週、(新議長として初会合に臨んだ)ケビン・ウォーシュ議長のもとで政策金利を3.50%〜3.75%に据え置き、同議長は物価安定が意思決定の指針になると述べた。先物市場では9月に25bp利上げが織り込まれており、早ければ来月の利上げの可能性も一定程度見込まれている。なお、ポンドは西暦886年に起源を持つ世界最古の通貨とされ、FX取引量では世界4位で、2022年データに基づくと取引の12%(1日あたり約6,300億ドル)を占める。通貨ペア別ではGBP/USDがFX売買高の11%、GBP/JPYが3%、EUR/GBPが2%。発行主体はイングランド銀行で、金利政策を通じて概ね2%程度のインフレ目標を掲げている。
英政局不安がポンドの下押し要因に
英国の政治的不透明感を踏まえると、今後数週間のGBP/USDは一段の下値余地があるとみる。スターマー首相の辞任観測は大きな不安定要因を持ち込み、一般に通貨の重しとなりやすい。足元でも、1.3200近辺で上値の重い推移が続いており、圧力の強さがうかがえる。
価格変動の拡大を想定しており、トレーダーにも同様の構えを推奨する。GBP/USDオプションの1カ月インプライド・ボラティリティはこの1週間で約7%から11%へ急上昇しており、市場の不安心理を映している。これは2016年のブレグジット(EU離脱)国民投票後に見られたボラ急騰を想起させ、足元ではプロテクションの購入が妥当といえる。
金融政策の乖離と「ポンド安」局面での戦略
一方、相手通貨の米ドルは底堅さが続いている。新体制下のFRBによるタカ派姿勢が、ドル高の主因となっている。CMEグループのデータに反映された市場織り込みでは、9月会合での25bp利上げ確率が70%を上回る。
こうしたFRB見通しは、堅調な米経済指標にも裏付けられている。直近の雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想を上回る25万人増となり、先月のCPIではコアインフレが3.1%と粘着的な推移を示した。これらは、引き締めを通じて物価安定を優先するというFRBの判断を後押しする内容だ。
対照的に、英国経済は停滞の兆しを見せており、イングランド銀行(BoE)の選択肢を狭める可能性が高い。ONS(英国国家統計局)の最新統計では、2026年1-3月期のGDPは横ばいで、インフレ率は2.3%まで鈍化し、BoE目標に近づいている。タカ派的なFRBと、動きにくいBoEという金融政策の乖離は、対ドルでのポンド安に向けた明確な道筋を形成している。
このため、GBP/USDの下落局面で収益機会を得る戦略に注目している。1カ月および3カ月のプット・オプション購入は、下落からの利益を狙いつつリスクを限定できる直接的な手段だ。英国の政治イベントが夏場にかけて進展するなかで想定される下落に備えたポジショニングを可能にする。
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