金は週間で約1.5%下落し、下落もしくは横ばいで引ける週が6週連続となった。中東情勢は停戦合意に至らないまま4カ月目に入ったが、相場の反応は限定的だ。価格は4,000ドル近辺へとにじり寄っており、2月に付けた約5,600ドルの過去最高値からは依然として大きく乖離している。市場は金を地政学的リスクのヘッジというより、米実質金利の派生的な取引対象として捉えている。米連邦公開市場委員会(FOMC)は6月に政策金利を3.75%で据え置いたものの、よりタカ派的なドット・プロットを受け、従来想定されていた利下げよりも2026年の利上げ観測へ期待がシフトした。ドル指数(DXY)は13カ月ぶり高水準にある。
インフレ動向も、この「金利主導」の見方を補強している。5月の総合CPIは前年比4%を上回り、市場は来週木曜12:30(GMT)に公表される米指標に注目している。具体的には、1—3月期GDP(確報値)と5月PCEだ。コアPCEは前月比0.2%から0.3%へ加速が見込まれており、0.3%以上の結果となれば実質金利の上昇圧力が続き、4,000ドル水準の攻防を試す可能性がある。サポートは4,120ドルにも観測される。レジスタンスは4,200ドル近辺、その後は200日指数平滑移動平均(EMA)の4,365ドル、50日EMAの4,500ドルが意識される。ストキャスティクスRSIは再び買われ過ぎ圏に近づいている。
FRB政策、実質金利、そして金の下落モメンタム
足元の金価格は、地政学的な恐怖よりもFRB(米連邦準備制度理事会)にほぼ全面的に左右されている。直近の5月PCEインフレ指標は前年比2.9%と粘着的な水準となり、この見方を裏付けた。これにより市場では、FRBが「より長期にわたり高金利を維持する」との見方が固定化し、金の安全資産需要を上回っている。
当方が最も重視するのは米実質金利のチャートであり、足元では2.1%を上回って堅調に推移している。利回りを生まない資産である金を保有する機会費用が増すためだ。さらに、ドル指数は現在105を上回って推移しており、金相場には追加的な逆風となっている。
弱気見通しとポジショニング戦略
市場はFRBの引き締めシグナルを全面的に織り込みつつあり、先物市場では9月会合での追加利上げ確率が65%超と見積もられている。つまり、金の短期的な戻りは売りに押されやすい。最も抵抗の少ない方向は明確に下向きだとみている。
こうした見通しを踏まえると、今後数週間はデリバティブを用いた弱気スタンスが適切と考える。行使価格が4,000ドル以下のプットオプションの購入は、下放れに備える明確な手段となる。また、主要レジスタンスである4,365ドルを上回る水準でコールのクレジット・スプレッドを売却する戦略も、弱気バイアスを維持しつつプレミアム獲得を狙える可能性がある。
加えて、投機筋の建玉動向も注視している。直近のCFTCデータでは、ヘッジファンドが依然として大幅なロングを維持している。重要サポートである4,000ドルを明確に割り込めば、これらポジションの強制的な売りが連鎖する恐れがある。いわゆるロング・スクイーズにより、下落は3,000ドル後半(高3,000ドル台)まで加速し得る。
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