AUD/USDは金曜日、米連邦準備制度理事会(FRB)と豪準備銀行(RBA)からのタカ派的な政策シグナルが概ね相殺し合うなか、米ドルが軟化したにもかかわらず小動きとなった。執筆時点で0.7011近辺で取引され、週足では下落となる公算が大きい。両中銀は週初に政策金利を据え置いた一方、インフレが根強い場合には年内の追加利上げの可能性を残した。別途、中東情勢の緊張緩和はリスク選好通貨の支援材料となったが、市場は米国および豪州の金融政策パスに関する見通しを精緻化するため、新たな経済指標を待ち構えている。
来週の主な予定には、豪州の消費者物価指数(CPI)と雇用関連指標、米国の個人消費支出(PCE)価格指数および1-3月期GDP確報値が含まれる。加えて、豪ドルが中国指標に敏感であることから、世界の購買担当者景気指数(PMI)速報、ならびに中国人民銀行(PBOC)の政策金利決定にも注目が集まる。テクニカル面では、スポットはボリンジャーバンドのミドルラインおよび0.7091近辺の20日単純移動平均線(SMA)を下回る一方、0.6852の200日SMAを上回って推移。相対力指数(RSI)は中立の50に対し37、平均方向性指数(ADX)は31近辺。上値抵抗は0.7091、次いで0.7220。下値支持は0.6963および0.6852に位置する。
政策の方向性の違いと中国の影響
AUD/USDは狭いレンジにとどまり、足元では0.6650近辺で推移している。FRBが利上げ休止のシグナルを示す一方、RBAは国内インフレの粘着性を背景にタカ派姿勢を維持しており、この政策スタンスの違いが当面の大きな値動きを抑制している。
また、中国の動向も注視している。2026年5月の経済指標は強弱まちまちで、鉱工業生産は前年比6.2%増と底堅く豪ドルの支援材料となる一方、個人消費の弱さやPBOCの慎重姿勢が上昇余地を抑えている。このため、中国要因だけで豪ドルに強い方向感を持ちにくい状況だ。
見通し、ボラティリティ戦略、テクニカル水準
来週は豪州の月次CPI指標、米国のコアPCEインフレ指標の公表が控え、相場の分岐点となり得る。影響度の高いイベントであり、市場にボラティリティが戻る可能性が高い。両国いずれのインフレ指標が上振れするかにより、現在の狭いレンジをブレイクする展開を想定する。
重要指標の発表を前に、インプライド・ボラティリティは割安に見えるとの見方だ。過去の傾向として、AUD/USDのボラティリティは主要インフレ指標の公表前後で急上昇しやすく、発表後24時間で15〜20%のスパイクが生じることも珍しくない。相対的にオプションが割安な局面での購入は、大きな価格変動に備えるうえで妥当な戦略となり得る。
戦略としては、上下いずれの方向にも大きく動けば利益が見込めるロング・ストラドルやロング・ストラングルを想定する。インフレ指標の結果を当てにいくのではなく、結果を受けた値動きそのものから収益機会を狙うアプローチであり、上放れ・下放れのいずれでも対応可能だ。
テクニカルでは、当面の上値抵抗は0.6720近辺、下値支持は心理的節目の0.6600付近とみる。この支持線を割り込む場合、200日移動平均線(現状0.6540近辺)が次のターゲットとなり得る。これらの水準は、オプション戦略における権利行使価格の設定やリスク管理の目安として有用だ。
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