米国株は9日続伸を終えた。原油高、FRBのタカ派的な織り込み、AI関連のネガティブニュースがリスクセンチメントを圧迫した。S&P500は0.74%下落、ナスダックは0.89%安。等加重S&P500も0.42%下落しており、限定的な動きではなく広範な調整であることを示唆する。ブロードコムのAI向けチップ売上高見通しが市場予想を下回り、時間外取引で株価は13%超下落。セクター全体の地合いにも重しとなった。
主導株も弱含み、「マグニフィセント7」は1.25%下落して相場全体の重荷となった。一方で、フィラデルフィア半導体株指数は1.39%上昇し、最高値を更新した。欧州株は総じて下落し、STOXX600は0.66%安、独DAXは1.31%安、仏CAC40は0.71%安、伊FTSE MIBは1.07%安。アジア株指数とビットコインも下落し、世界の株式市場でリスクオフの動きが広がった。
市場心理の転換とディフェンシブ姿勢
米国株の9日続伸が止まったことを受け、市場心理の明確な転換が見られる。タカ派的な金利見通しと、AI売上高予想の失望が慎重姿勢を強めた。VIX指数は15%超上昇して16.5で引けており、今後数週間に向けて投資家がヘッジ需要を強めていることを示す。
「マグニフィセント7」のアンダーパフォームは主要な懸念材料だ。これらの銘柄が年初来の上昇を牽引してきたためである。ナスダック100連動ETF(QQQ)のプット/コール・レシオは1.3まで上昇し、2026年4月下旬に相場が不安定化した局面以来の高水準となった。このことは、ディフェンシブな構え(上昇が行き過ぎた大型ハイテク銘柄へのプット購入、あるいはロングポジションのヘッジとしてアウト・オブ・ザ・マネーのコール売り)を検討すべき局面を示唆する。
セクター・ローテーションとマクロ逆風
主要AI関連企業の見通しが調整を誘発した一方、半導体株指数が最高値を更新している点は、状況が一枚岩ではないことを示している。テックからの全面撤退というより、テック内でのローテーションが進む可能性がある。たとえばSOXX(半導体ETF)をロングにしつつ、上昇が大きくバリュエーションの高い特定のAIソフトウェア株をショートする、といったペアトレードに機会があるとみる。
マクロ環境も支援材料が薄れつつある。WTI原油は1バレル=85ドルを上回り、インフレ懸念を再燃させている。次回FOMC(6月18日)まで2週間という中、フェデラルファンド金利先物が示す利下げ確率は9月以前で20%未満に低下した。この背景は慎重姿勢の維持を正当化し、「高金利の長期化」が株式バリュエーションの上値を抑える可能性が高い。
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