WTI(米国産原油の指標)は木曜日の欧州時間序盤、1バレル=93.10ドル近辺で取引され、イスラエルとレバノンが停戦更新で合意したことを受けて93.00ドル方向へ軟化した。外交進展への期待が高まった格好だ。英ガーディアン紙は、この合意がワシントンでの米国主導協議を経た共同声明で発表されたと報じており、イラン支援のヒズボラによる「完全な」攻撃停止を求める内容と位置づけられた。正式な外交関係を持たない両国はまた、レバノン軍が非国家主体を排除して排他的に統治する「試験的な治安ゾーン」の設置でも一致した。
もっとも地政学的不確実性は依然として高く、緊張が再燃すれば供給途絶懸念が再び強まり、原油相場を下支えする可能性がある。イランのアッバース・アラグチ外相は、米国との接触は断っていないとしつつも、中東戦争終結に向けた協議は「目に見える進展がない」と述べた。供給面では米国原油在庫の減少が継続。EIA(米エネルギー情報局)によれば、5月29日までの週の在庫は797.4万バレル減(前週は332.7万バレル減)となり、市場予想(400万バレル減)を上回った。
イスラエル・レバノン停戦に対する市場の反応
WTIが足元で90ドル前半へ下落したのは、イスラエル・レバノンの停戦合意への反応とみられる。この下押しは、ファンダメンタルズの構造変化というよりヘッドライン主導の色合いが強い。トレーダーは、この下落基調が続くと安易に想定しない方がよい。
需給の基調は引き続き極めてタイトであり、最新のEIA統計が示した米国在庫の797万バレル超の大幅取り崩しがそれを裏付ける。取り崩し幅はコンセンサスのほぼ2倍で、AAAは2026年夏の旅行者数が過去最高になると予測している。季節要因による需要の強さが、価格の上昇圧力を維持しやすい。
供給タイト化と地政学リスクが強気見通しを下支え
大局的に見ると、米国の商業用原油在庫は足元で18カ月ぶりの低水準にあり、戦略石油備蓄(SPR)も40年ぶり低水準近辺で、供給ショックに対する緩衝余地は乏しい。歴史的に、こうした逼迫局面の市場は、地政学ニュースが「長期的かつ具体的な供給増」を示唆しない限り、下落が長続きしにくい。今回の停戦はそれを保証するものではない。
今回、市場から一時的に剥落した地政学リスク・プレミアムは、短期間で戻り得る。合意は脆弱で、イランも広域課題で「目に見える進展がない」と表明している。ヒズボラ側の不履行兆候や緊張再燃があれば、価格は急速に反発する公算が大きい。
需要の強さと地政学リスクが併存する環境下、原油オプションのインプライド・ボラティリティは上昇しやすいとみる。足元の値弱含みは、短期のコール買い、またはブル・コール・スプレッドの構築を検討する好機となり得る。これにより、今後数週間の原油反発局面に備えるポジションとなる。
今すぐ取引を始めましょう — VT Marketsのリアル口座を開設するにはこちらをクリックしてください。