ダラス連邦準備銀行のローリー・ローガン総裁は、インフレ率は依然として高過ぎる水準にあり、物価圧力がさらに弱まらなければ年内に利上げを促す可能性があると述べた。インフレは2%に到達するのではなく2%台半ばに向かっており、FRB目標への回帰に時間がかかり過ぎているという。
また、トリム平均インフレ率は現時点で信頼できるシグナルではないとも指摘した。金融環境は引き続き緩和的で、労働市場は安定している一方、経済活動はなお強く、企業収益は「絶好調」だと述べた。金融政策が経済を抑制していないとして、年内の利上げが必要になる可能性があるとの見方を改めて強調した。
粘着的なインフレと市場の誤った織り込み
インフレが2%目標へ戻るのではなく、2%台半ばで定着しつつあることがより明確になってきた。直近の5月CPIではコアインフレ率が2.9%と粘着的で、物価圧力の沈静化が十分なペースで進んでいないことを確認した。こうした持続性は、景気と企業収益が予想外に底堅い局面で起きている。
この状況を踏まえると、金利先物市場には誤った織り込みが見られる。市場は9月までの利上げ確率を20%程度と小さく見積もっているが、FRBが動かざるを得なくなるリスクを考えると低過ぎるように見える。現行の金融政策は「仕事を終える」には明らかに十分に引き締め的ではないため、短期金利上昇に備えたポジショニングを検討すべきだ。
投資への含意と市場機会
株式市場は楽観的で、VIX(恐怖指数)は14近辺の低水準で推移している。これは、利上げの可能性を市場が織り込み直す前に、割安にプロテクションを購入する好機となり得る。1-3月期(Q1)の実質GDP成長率2.5%という強さも、年内にFRBがよりタカ派に傾けば容易に損なわれかねないため、金利敏感型指数に対するプットオプションが魅力的だと考える。
この環境は米ドルの強さも示唆する。より高い金利が必要になると見込むなら、よりハト派的な中央銀行を抱える通貨に対してドルが恩恵を受ける可能性が高い。ドルのロングは、想定する国内の金融引き締めに対する合理的なヘッジとなる。
同様のパターンは過去にも見られた。例えば2021年末、市場はFRBがインフレ退治へ急旋回することの織り込みが遅れた。直近の雇用統計では就業者数が21万人増と堅調で、失業率は3.8%に据え置かれた。これはFRBが引き締め姿勢を維持する「青信号」となる。今回も不意を突かれないよう、資産クラス全般でリスクの再評価(リプライシング)が起こり得ることに備える必要がある。
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