米経済指標と地政学リスクがドルを下支え、EUR/USDは上値重く推移
EUR/USDは水曜日、前日をほぼ横ばいで終えた後に小幅安となった。堅調な米経済指標がドルを支えたほか、中東情勢の緊迫化が「グリーンバック」需要を下支えし、ユーロは軟化した。通貨ペアは1.1607近辺で取引され、週初来の下落基調を延長。米ドル指数(DXY)は99.45前後と、日中で0.25%高となり、足元レンジ上限に近い水準で推移した。
米国の発表では、ADP雇用統計(民間部門雇用者数)が5月に12.2万人増と、4月の10.5万人増から加速。市場予想(11.7万人増)を上回り、2025年1月以来の高い伸びとなった。ISM非製造業景況指数(サービスPMI)は54.5と、前月の53.6から上昇し、予想(53.8)も上回った。一方、S&PグローバルのサービスPMI確報値は50.7と前月の50.9から低下し、予想(51)を下回った。市場では、連邦準備制度理事会(FRB)が今後数カ月は政策金利を据え置くとの見方が織り込まれている。CME FedWatchでは12月に25bp利上げとなる確率が40%と示され、政策当局はホルムズ海峡周辺での供給混乱や原油高に伴うインフレリスクを評価している。
ユーロ圏では、速報値で5月インフレ率が3.2%と2023年9月以来の高水準となり、コアインフレも2.5%へ加速したことを受け、欧州中央銀行(ECB)の金融引き締め観測が強まっている。ロイター調査では、80人中74人のエコノミストが、ECBが6月会合で預金ファシリティ金利を2.25%に引き上げると予想した。
ドル高とインフレ動向が通貨見通しを左右
米ドル高がEUR/USDを1.1600方向へ押し下げる展開に注目している。背景には、ISMサービスPMIが54.5へ上昇するなど、強い米指標がある。これにより、FRBが当面様子見姿勢を維持し、米金利の相対的な魅力度が保たれるとの見方が補強される。一方、ユーロ圏のインフレ率上昇はECBに利上げ検討を迫っている。
米民間雇用の予想外の強さを踏まえると、FRBが短期的に方針転換する理由は乏しいとみる。市場は12月の利上げ確率を40%織り込んでおり、ドルには底堅い買い需要が入りやすい。これを受け、短期のEUR/USDコール売り、またはプット買いといった下押し局面を見込む戦略が選択肢になり得る。
ボラティリティと地政学リスクが戦略的ポジショニングを示唆
大西洋の向こう側では、ユーロ圏インフレが3.2%となったことで状況が緊迫しており、ECBに対応を促す水準となっている。次回会合での利上げはほぼ織り込み済みで、マネーマーケットでは25bp引き上げ確率を90%と見積もっている。焦点は、これが単発の調整にとどまるのか、インフレ抑制に向けたより積極的な引き締めサイクルの起点となるのかにある。
こうした強い相反要因を踏まえると、為替ボラティリティは大きく上昇する可能性がある。VIX指数は足元で13を割り込み、市場全体の警戒感は低く、オプションのバリュエーションは相対的に割安になりやすい。そのため、中央銀行会合後のどちらか一方向への大きなブレイクアウトに備え、ストラドルなどEUR/USDのロング・ボラティリティ戦略を検討している。
また、中東の地政学リスクは原油価格にリスクプレミアムを付与している点も織り込む必要がある。歴史的に、ホルムズ海峡周辺で緊張が長期化する局面では、米ドルへの「質への逃避」が生じやすい。これはグリーンバックの追加的な支援材料となる一方、ユーロには逆風となる。
今すぐ取引を始めましょう — VT Marketsのリアル口座を開設するにはこちらをクリックしてください。