米国の卸売在庫は4月に前月比0.5%増となり、市場予想の0.6%増を下回った。今回のデータは、当月の在庫積み増しペースが予想よりやや鈍かったことを示唆する。
予想を下回ったことで、在庫増が想定ほど進まなかった可能性が示され、短期的にはサプライチェーン環境や卸売取引全体の活動度合いの評価に影響し得る。在庫統計は需要そのものではなく在庫水準のスナップショットだが、GDPナウキャスティングや受注動向への示唆から、引き続き注目度は高い。
Economic Implications Of Lower Inventory Growth
当社は、予想を下回った卸売在庫の伸びを、堅調な経済需要の表れとみている。企業の販売が補充ペースを上回っていることを示唆し、消費の基調の強さを映す。これは、景気が急速に減速しているとの見方に一石を投じる。
このデータは、4月の小売売上高が前月比0.7%増と予想を上回ったことなど、直近の他指標とも整合的だ。さらに最新の消費者物価指数(CPI)では、コアインフレ率が3.6%と底堅く推移し、米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の政策運営を一段と難しくしている。堅調な支出と粘着的なインフレの組み合わせは、当社の見方を裏付ける。
その結果、当社は、市場が「FRBが高金利をより長く維持する」確率を過小評価していると考える。金利先物は現在、第4四半期前の利下げ確率を40%未満と示唆しており、1カ月前から大きく低下した。金融政策見通しのこの変化は、今後数週間の重要な要因となる。
Equity Market Strategies And Volatility Outlook
株式デリバティブでは、景気成長に敏感なセクター(資本財・サービス、一般消費財など)での機会を見ている。底堅い需要が相場の下値を支えるとの見立てから、S&P500のような指数でアウト・オブ・ザ・マネーのプットを売却し、プレミアム収入を得る戦略を検討している。この戦略は、足元の景気耐性の恩恵を受ける。
ボラティリティをみると、VIX指数は低レンジで推移しており、直近の終値は12.9だった。これは市場の安心感(慢心)を示唆し、オプション・プレミアムが相対的に割安であることを意味する。当社は、想定外のショックに備えるプロテクションを低コストで購入する好機とみる。
歴史的に、在庫積み増しが遅れる一方で消費が堅調な局面は、2021年初のように株式にとって強気材料となりやすい。あの局面では、需要に対応するため生産が増強され、大きな株高局面に先行した。今夏にかけても、より緩やかな形ながら同様の力学が働く可能性があると当社は予想する。
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