金は水曜日に1%超下落した。米ドルが持ち直したほか、米国とイランの交渉が停滞するとの観測を背景にリスク選好が中立化したためだ。XAU/USDは4,443ドルと、3月30日以来の安値水準で推移した。ドナルド・トランプ氏が「イランがウランを放棄しない限り制裁緩和はない」と述べたことでドル需要が強まった。ホワイトハウスはまた、米交渉団に送付された草案の内容に関するイラン国営テレビの報道を否定。一方、米ドル指数(DXY)は0.06%高の99.20となった。ほかではニュージーランド準備銀行(RBNZ)が政策金利を据え置きつつタカ派的なガイダンスを示し、中東情勢によるエネルギーショックに伴う利上げの可能性を残した。
米金利市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)関係者発言と金融政策見通しの再評価が金地金の重しとなった。Prime Terminalによれば、ケビン・ウォーシュFRB議長体制の下で年末にかけて利上げとなる確率は約50%に達している。労働指標はまちまちで、ADP雇用統計の4週平均は35.75K(前回は40.75Kに下方改定)へ鈍化した。チャート面では金は4,401ドルまで下げた後に小幅反発。下値支持は4,400ドル、次いで4,098ドル、上値抵抗は4,500ドル、4,550ドル、4,600ドルに位置する。50日移動平均線(SMA)は4,636ドル。構造的な下支え要因として中央銀行需要は依然強く、2022年の購入量は1,136トン(約700億ドル相当)だった。
テクニカル見通しと下振れリスク
4,500ドル水準を明確に割り込んだことを踏まえると、当面は金の「最も抵抗の少ない道筋」は下方向とみる。最大の逆風は米ドル高であり、このトレンドは継続すると見込む。テクニカルは悪化しており、相対力指数(RSI)は売られ過ぎの域に入らないまま強い下向きモメンタムを示している。なお下落余地があることを示唆する。
マクロ要因と戦略
市場は、米国に限らず根強いインフレと、それに伴う中央銀行のタカ派スタンスに反応している。直近データもこれを裏付けており、4月の米コアPCEは2.9%と、FRB目標を依然として上回った。結果として、CME FedWatchツールの織り込みでは、2026年末までに少なくとも1回の追加利上げとなる確率がほぼ60%に達している。これはドルの下支えとなり、金のような利回りを生まない資産に下押し圧力をかけ続ける公算が大きい。
イラン情勢のような地政学リスクは、足元では金ではなく米ドルへの「安全逃避」を促している。これは市場行動の重要な変化であり、無視できない。歴史的に、地政学的不確実性の局面でドル高が進むと金の上昇が抑えられやすく、2020年代前半に始まった利上げ局面以降、このパターンは繰り返し観察されている。
今後数週間は一段安を想定し、4,500ドル近辺への戻りは売り場と位置付ける。戦略としては、4,400ドルの支持線近辺の行使価格でプットオプションの購入を推奨し、満期は2026年6月末または7月を想定する。これにより、次の主要サポートである4,100ドル近辺への下落局面から、リスクを限定しつつ収益機会を狙える。
金ボラティリティ指数(GVZ)が18.5まで上昇し不確実性が高まっていることを踏まえると、スプレッドの活用がコスト面で有利となり得る。例えば、4,400ドルのプットを買い、4,250ドルのプットを売るベア・プット・スプレッドは、初期コストを抑えられる。急落ではなく段階的な下落を想定する場合、このアプローチは妥当だ。
今週発表の米雇用統計とGDPを注視し、景気減速の兆候がないか見極めたい。FRBがタカ派姿勢の再考を迫られるようなデータが出れば、ドルと金の双方で急反転が起き得る。例えば雇用統計が予想を下回れば、弱気ポジションを迅速に縮小するシグナルとなる。
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