TDセキュリティーズは、英国家計統計局(ONS)が英国GDPの季節性パターンを誤って計測している可能性があり、その結果、年初の成長が実態以上に強く、下期の活動が実態以上に弱く見えている一方で、年間成長率全体は変わらない可能性があると指摘した。同行のノートによれば、英国は2025年上期(2025H1)にG10の他国を上回り、2026年1~3月期(2026Q1)のこれまでの公表分でも再び先行している。しかし同時に、四半期・月次データの双方で「上期に生産が急伸し、下期に横ばいとなる」という繰り返しのプロファイルが見られる点を問題視している。ONSはこれに対し、手法を擁護する分析を公表済みだ。
TDはサンフランシスコ連銀の研究に基づく「二重の季節調整(double-seasonal adjustment)」手法を用い、既に季節調整済みの系列を再度季節調整して、繰り返し生じる歪みを検出する。分析の結果、2023年以降、公式の季節調整済みGDPは二重調整後の指標よりも変動が大きく、1~3月期(Q1)と4~6月期(Q2)に上振れバイアスがある一方、7~9月期(Q3)と10~12月期(Q4)は過小推計されているという。この前提に立つと、発表されたQ1の前期比0.6%成長は最大0.25%ポイント過大の可能性があり、その分Q3・Q4の成長率は各最大0.2%ポイント過小となり得る。
報告された英国成長率の強さに疑義
我々は、英国GDP統計が示す直近の強さはミスリーディングだと考える。公式データには、年の前半の成長を繰り返し過大評価する問題があるように見え、したがって英国経済の真のモメンタムは、2026年1~3月期(Q1)の0.6%という報告値より弱い可能性が高い。この見方は、力強い英国景気回復を称賛してきた現行の市場ナラティブに異を唱えるものだ。
この懐疑的な見立ては、直近のインフレ指標にも支えられる。2026年4月のインフレ率は2.1%とコンセンサス予想をわずかに下回り、景気が過熱していないことを示唆している。イングランド銀行(BOE)は引き続き4%超で推移する賃金上昇に注目しているものの、GDPが過大推計されている可能性は、追加利上げを急がない根拠を強める。市場が第3四半期の利上げを織り込む現在のプライシングは、自信過剰だと我々は見る。
したがって今後数週間は、金利デリバティブ、とりわけ2026年後半のSONIA先物に注目する。足元のカーブは、強いものの欠陥が疑われるQ1成長データを完全に織り込んでいるように見える。これは、市場が想定するより慎重なBOEに備えてポジションを構築する好機となり得る。
市場への含意とポジショニング
英国成長率の再評価は、英ポンドに下押し圧力となるはずだ。ポンドは4月に対ドルで1.28水準まで上昇したが、その背景の一部は、疑義のある成長ストーリーに依拠していた。我々は、1.25近辺への反落の可能性を収益機会に変える手段として、7月下旬満期のGBP/USDプットオプションの購入を検討している。
より先を見れば、同じ季節性の歪みは下期の成長が過小に出ることを意味する。過去には、2015年前後の米国GDPで見られたような類似のデータ上の癖が、修正・再評価の局面で市場の大きなリプライシングにつながった例がある。従って我々は、この夏の後半にかけて、Q3・Q4データが予想外に強く出る可能性を見据えた機会を探る。これが年末に向けてBOEのタカ派転換を促す展開もあり得る。
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