イランを巡る懸念が和らいだことでリスク選好が改善し、原油価格は軟化する一方、米株価指数先物は最高値更新の流れを広げた。長期金利は直近の行き過ぎ局面からの巻き戻しが続き、米ドルは主要通貨の大半に対して下落した。為替市場では、米ドル指数(DXY)は約1年にわたり96.00~100.00のレンジで推移している。
BBHは、米金利差と利上げ期待(底堅い成長と粘着的なインフレに整合的)に支えられ、DXYはこの96.00~100.00レンジ上限を上抜ける余地があるとみる。これに対し、ECBと英中銀(BoE)の利上げ期待は、インフレ高進と成長鈍化が併存するスタグフレーション的な環境を映してユーロ、ポンドの支援材料としては弱いと説明された。別途、ノンバンク金融仲介における流動性・レバレッジ面の脆弱性が市場ストレスの増幅要因となり得る点が指摘され、ECBの5月「金融安定レビュー」では、地政学的緊張の長期化と財政の持続可能性への懸念の高まりが金融安定リスクを押し上げるとしている。
ドル指数の見通しと取引戦略
米ドル指数(DXY)は足元、長期レンジ上限に近い99.85近辺を試しており、上方ブレイクの可能性が高いとみている。最新の2026年4月の米雇用統計は堅調で、非農業部門雇用者数は21.5万人増となり、米国経済の底堅さという見方を補強した。このため、今後数週間で101.50方向への上昇を狙い、DXYのコールオプション、もしくは先物のロングを検討している。
ユーロとポンドの弱さ:中核となるマクロ要因
ユーロは相対的に弱さが際立っており、高インフレと景気減速という難しい組み合わせに直面している。ユーロ圏の2026年4月インフレ率は4.1%と高止まりする一方、独鉱工業生産の直近データは減少を示し、景気の先行き不透明感を示唆した。米国見通しとの乖離を踏まえると、プットオプションなどを通じたユーロ/ドル(EUR/USD)のショートは魅力的な戦略と考える。
英ポンドについても同様の見方で、英国経済には減速の兆しがある。2026年4月の英インフレ率は4.5%と高水準が続く一方、2026年1-3月期GDP成長率は0.1%とほぼ横ばいだった。これは、英中銀の利上げが成長を犠牲にしてインフレ抑制を優先する形になり得ることを示し、ポンド/ドル(GBP/USD)では弱気のデリバティブ・ポジションを選好する理由となる。
戦略の中核は、米国と欧州の大きな金利格差にある。2年国債利回りベースでの格差は現在150bpに達している。歴史的には、2022年にも見られたような大幅スプレッドはドル高局面に先行してきた。金融システムに内在するリスクも踏まえ、急な市場ストレスに備えるヘッジとして、VIXコールオプションのような低コストのボラティリティ保険を一部保有することも有効だと考える。
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