EUR/GBPは火曜日の欧州早朝、0.8630近辺へとしっかり。ユーロは欧州中央銀行(ECB)高官のタカ派発言に支えられた。市場の関心は金曜日に発表予定のドイツの速報インフレ指標に移っており、短期的な利上げ見通しを左右する可能性がある。
ECB理事のイザベル・シュナーベル氏は、イラン和平交渉が合意に至ったとしても6月に利上げすべきだと発言。紛争は想定以上に長期化しており、エネルギー価格の高止まりが広範な経済に波及していると指摘した。別途、政策担当者のマルティン・コッハー氏は、イラン情勢がインフレ圧力を強めるなか、ECBは来月の利上げに一段と傾いていると述べた。ECBウォッチ・ツールでは、市場は6月会合での25bp利上げ確率を約85%織り込んでいる。英国では、インフレの弱含みと、4月失業率が予想外に5.0%へ上昇したことを受け、近い将来の政策変更観測が後退。オックスフォード・エコノミクスとゴールドマン・サックスは、政策金利が2026年末まで3.75%で据え置かれると予想しており、ゴールドマンはエネルギーコストが再び上昇すれば夏場の利上げ余地があると指摘した。
中央銀行政策の乖離がEUR/GBPの上昇余地を後押し
中央銀行政策の明確な乖離が、今後数週間のEUR/GBPクロスを押し上げるとみる。ECBはインフレの粘着性を背景にタカ派姿勢を強めるシグナルを発している一方、イングランド銀行(BoE)は弱含む経済指標に直面している。これにより、ポンドに対するユーロ高を見込むポジション構築の根拠が強まっている。
ECBのスタンスは足元のデータでも裏付けられており、ドイツの5月HICP速報は前年比+2.9%と、市場予想の+2.7%を上回った。これにより、市場が6月利上げ確率を85%と見込む見方が固まった。タカ派センチメントは一段と強まり、ユーロの下支え材料として作用しやすい。
一方の英国経済は減速の兆しがみられ、BoEの様子見を正当化する。4月失業率の予想外の5.0%への上昇に加え、ONS(英国家統計局)データでは賃金上昇率が3.8%へ鈍化し、1年以上で最も低い伸びとなった。BoEが当面、政策金利を3.75%で据え置くとの見方を補強する内容だ。
取引上の示唆とボラティリティ要因
デリバティブ取引の観点では、権利行使価格0.8700近辺、7月満期のEUR/GBPコールオプションの買いが示唆される。足元の水準が0.8630近辺であることから、この戦略は政策乖離の進行を見込んだ上昇エクスポージャーを提供する。向こう6〜8週間で0.8800水準への上昇を目標とする。
同時に、ボラティリティ上昇にも留意が必要だ。EUR/GBPの1カ月物インプライド・ボラティリティは、先月の5.8%から足元7.2%へ上昇している。今週金曜日のドイツインフレ指標は重要イベントとなり、上振れサプライズが出れば、上昇モメンタムが加速する可能性がある。こうした環境では、プレミアムコストを抑える目的でブル・コール・スプレッドなどの戦略が有利になりやすい。
この局面は、2016〜2017年にかけて、ブレグジット(EU離脱)投票後の急激な政策乖離がクロスを0.7700割れから0.9000超へ押し上げた局面を想起させる。今回は同規模の上昇を予想するものではないが、乖離のインパクトの強さを示す例だ。ファンダメンタルズ要因は、ポンドに対するユーロ優位が一定期間続く方向で整いつつある。
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