米エネルギー情報局(EIA)の統計によると、5月15日までの週の米天然ガス在庫は101B(10億立方フィート、Bcf)増加した。市場予想は96Bだった。
発表値は予想を5B上回った。これは当該期間の在庫への注入量(貯蔵施設へガスを入れる量)が想定より多かったことを示す。
前年との比較
昨年(2025年)の同時期の動きも踏まえる必要がある。5月15日の在庫統計では、在庫増加が101Bcfとなり、予想の96Bcfを上回った。この想定外の積み増し(サプライズ)は、その後数週間の価格に下押し圧力を与えた。
そして2026年5月下旬の現状も、在庫水準がすでに高いという点で似た構図だ。足元の天然ガス在庫は約2,650Bcfで、過去5年平均を25%超上回り、昨年同時期よりも明確に高い。米国のドライガス生産(処理後の水分などを除いた販売可能な天然ガスの生産量)も強く、日量103Bcf超で高水準を維持している。
需要面は、この供給過剰(供給が需要を上回る状態)を吸収できるほど強いとは言い切れない。6月上旬の天気予報では米国の広い地域で穏やかな気温が見込まれ、発電向けの冷房需要(気温上昇に伴う電力需要増)が立ち上がりにくい。LNG輸出(液化天然ガスとして海外へ出荷)は堅調だが、高い生産と弱い国内消費の組み合わせを相殺するには力不足となる可能性がある。
この環境では、買い持ち(ロングポジション)を保有する際は慎重になりたい。価格が横ばい、または下落した場合に有利になりやすい戦略として、7月限(NGN26)でアウト・オブ・ザ・マネーのコールオプション(現値より高い行使価格の買う権利)を売る手法が挙げられる。プット(売る権利)の購入も、ヘッジ(損失を抑える対策)や6月にかけた追加下落を見込む手段になり得る。
注目すべき主なリスク
一方で、6月下旬に予想外の熱波(急な高温)が出れば、見通しは短期間で変わり得る。メキシコ湾でのハリケーンの早期発生などにより生産が途絶すれば、価格が急騰する可能性もある。そのため、売り持ち(ショートポジション)を取る場合は、損失を限定する管理(リスク管理)を徹底することが重要だ。