ハンガリーの資産ポジションは選挙後に「行き過ぎ(買われ過ぎ・売られ過ぎで調整が起きやすい状態)」とみられており、市場は現在、ハンガリー中央銀行(Magyar Nemzeti Bank:MNB)の次回の金融政策決定に注目している。新政権はフォリント高よりも国債の資金調達コスト(利回り)低下を優先し、財政規律(歳出抑制や財政赤字の管理)によって長期国債への需要を呼び込む方針だ。
MNBの政策は据え置き予想が優勢だ。理由の一つは、財政引き締め計画が強まれば、追加の金融引き締め(利上げ等)の必要性が低下し得るためだ。EUとの資金拠出に関する合意も近くまとまるとの見方があり、市場環境を下支えする可能性がある。
政策の焦点は利回り低下へ
財務省は、リスク認識の低下(国の信用不安が和らぐこと)は、フォリントの急騰ではなく、主に国の借り入れコスト低下として表れるべきだとしている。政策目標は、財政運営の改善で期間プレミアム(長期債利回りに上乗せされる追加の利回り)を下げることであり、インフレ抑制のために短期のキャリートレード資金を呼び込むことではない。
次回決定は、市場の関心が短期金利からデュレーション(債券価格が金利変動にどれだけ反応するかを示す期間・金利リスク)へ移るかどうかの試金石とみられる。MNBは最近、市場と流動性の改善を理由に、外貨スワップ(通貨を一定期間交換する取引)に関わる金利をサプライズで引き下げた。
参照データでは、フォリントはキャリートレード解消(高金利通貨買いが巻き戻される動き)の先頭にあり、中東欧(CEE)の通貨は弱いグループに入っている。世界的なインフレ圧力が長引く場合、フロントエンド(短期ゾーン)の実質金利バッファー(名目金利-インフレ率で得られる実質金利の余裕)を十分に確保する必要があるとの見方はなお残る。
新政権は強い通貨より低い国債利回りを望む立場を明確にしており、フォリント安を容認する姿勢を示している。通貨防衛から距離を置く政策転換により、HUF(ハンガリー・フォリント)の追加下落を見込むポジション構築が合理的になる。そのため、短期的なフォリント高は売り場と捉えるべきだ。
フォリント安の継続に備える
フォリントは弱さをすでに示しており、最近は対ユーロで400を超えた。MNBの政策金利は6.75%にある一方、最新のインフレ率は4.8%で、実質金利の余裕は以前ほど大きくない。この差の縮小により、かつて通貨を支えていたキャリートレード(低金利通貨で借りて高金利通貨に投資し金利差を得る取引)の魅力は低下する。
データ上もキャリートレードの巻き戻しが進んでおり、年初来ではフォリントはポーランド・ズロチなど域内通貨に比べて弱い。2025年を通じた財政運営の難しさを踏まえると、市場が具体策が出るまで新たな財政公約に懐疑的になるのは自然だ。EU資金合意が遅れれば、通貨への売り圧力は強まりやすい。
選択肢としては、EUR/HUF(ユーロ/フォリント)が上昇する(フォリント安)との見方に基づき、今後数週間で405~410を目標にする手法がある。EUR/HUFのコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)を買えば、フォリント安の進行を狙いつつ、最大損失を限定できる。中銀が最近の通貨動向に強く反応していないように見える局面では、慎重な手段といえる。