米S&Pグローバルの製造業PMI(購買担当者景気指数、企業の購買担当者への調査を基に景況感を数値化した指標)は5月に55.3となった。市場予想の54を上回った。
PMIは50を上回ると製造業の活動が拡大していることを示す。5月の結果は、製造業が拡大基調を維持したことを示唆する。
市場への示唆:FRB見通し
5月の製造業PMIが55.3と強かったことは上振れ材料で、米景気の勢いが想定より強い可能性を示す。大幅な減速懸念は行き過ぎだった可能性がある。今後数週間、市場はFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策の見通しを見直す局面になりやすい。
この結果は、早期の利下げ(政策金利の引き下げ)の可能性を下げる材料となる。CME FedWatchツール(FRBの利上げ・利下げ確率を先物市場の価格から推計する指標)では、9月利下げの市場織り込み確率が、取引時間序盤で45%から30%未満へ低下した。金利先物(将来の金利水準に連動する先物)では、「高金利が長期化する」シナリオを意識したポジションが選択肢となる。
株式市場にとってはプラスとマイナスが併存する。景気の強さは企業利益の追い風になる一方、金利高は株価の割高感(将来利益を現在価値に割り引く際の金利が上がり、株の評価が下がりやすい)を強めやすい。特にS&P500の予想PER(株価収益率、予想利益に対する株価の倍率)は約21倍と高めだ。SPYのプット(下落時に利益が出やすいオプション)で下落ヘッジを行う、またはVIX(株式市場の予想変動率を示す「恐怖指数」)のコール(上昇時に利益が出やすいオプション)を検討する余地がある。VIXは13.5と低位にある。
FRBがタカ派(利下げに慎重で、金融引き締め寄り)に傾く見通しは、一般に米ドルに追い風となりやすい。ドル指数(DXY、主要通貨に対する米ドルの強さを示す指数)はここ数週間105近辺で推移しており、今回の結果が上抜けのきっかけになる可能性がある。米ドルのコール、またはユーロなど他通貨のプットで、ドル高再開に備える戦略が考えられる。
商品需要の見通し
この指標は、景気に左右されやすい工業用商品の需要増加も示唆する。景気の体温計とされる銅価格は、今朝の時点で1.5%上昇し、1ポンド当たり4.70ドルを上回った。PMIの強さは、製造業による原材料購入が増えやすいことを示すため、工業用金属やエネルギーのデリバティブ(先物・オプションなど、価格に連動する金融商品)で買い持ちを検討する余地がある。