米国のS&Pグローバル(S&P Global)による5月のサービス業購買担当者景気指数(PMI、企業の受注・雇用などを基に景気の強弱を示す指標)は50.9となった。市場予想の51を下回った。
一般に、50を上回るとサービス業の活動が拡大、50を下回ると縮小を示す。今回は50.9と、拡大・縮小の分かれ目である50をわずかに上回った。
サービス業に早期の減速サイン
今回のサービス業PMIは50.9と、予想(51)を小幅に下回り、景気の勢いがやや弱まっている可能性を示す。サービス業はこれまで景気を支えてきた主要分野であり、わずかな下振れでも市場の見方を変え得る。米連邦準備制度理事会(FRB、米国の中央銀行)が続けてきた高金利政策が、ようやく需要を抑え始めたとの見方を強めやすい。
今後数週間は、この結果を受けて市場の変動が大きくなる(ボラティリティが上がる)可能性がある。恐怖指数と呼ばれるVIX指数(S&P500の予想変動率を示す指標)はここ数週間、14近辺で低位に抑えられてきたが、こうした弱めの指標が出ると、18〜20程度へ戻るきっかけになりやすい。こうした局面では、S&P500(SPX)など主要株価指数に対する「プットオプション」(下落に備える権利)を買って保有株のリスクを抑える(ヘッジする)戦略が選択肢になり得る。
2024年末〜2025年初の局面でも、PMIの鈍化が先行した後に相場が不安定になった。ただ当時は、その後に雇用統計が強く、早い段階の弱気ポジションは不利になった経緯がある。今回も、次の雇用関連指標で確認が取れるまでは、悲観に傾きすぎない慎重さが必要だ。
市場の関心は、FRBの次の政策判断と、利下げ観測(金利が下がるとの見方)に移る。市場参加者は年内利下げへの見込みを強める可能性があり、これはSOFR先物(米国の短期金利指標SOFR=担保付き翌日物調達金利に連動する金利先物)の価格にも表れる。今後のFRB高官発言は、これまでの「タカ派」(利上げ・高金利を重視)姿勢からの変化があるかどうかが焦点となる。
今後発表される非農業部門雇用者数(NFP、農業を除く雇用者数の増減を示す重要統計)は、労働市場の弱さが出るかどうかを判断する材料となる。雇用数字が弱めで、今回のPMIと重なれば、景気減速の見方が強まりやすい。一方、先月の+24万人のように強い結果が続けば、今回のPMI下振れは一時的なものとして扱われる可能性がある。