ニュージーランドの電子カードによる小売売上高は4月、前年同月比で2%増となった。前回(2.7%増)から伸びが鈍化した。
カード決済による売上の減速は、家計の消費意欲(消費者需要)が弱まりつつある明確な兆候だ。これにより、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)への利上げ圧力が和らぐ。こうした状況を踏まえると、市場は年後半の利下げをより強く織り込む(先回りして金利見通しに反映させる)とみる。中央銀行が「ハト派」(景気下支えのため利下げを志向しやすい姿勢)に傾く可能性が高まっている。
ニュージーランドドルの見通し
政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR、中央銀行が目標とする短期金利)が引き締め的な5.50%に据え置かれている中でも、今回の指標はニュージーランドドルに下押し圧力となる。NZD/USD(ニュージーランドドル/米ドル)は足元で0.6120付近だが、今後数週間で心理的な節目(市場参加者が意識しやすい価格水準)である0.6000のサポート(下値の目安)を試す可能性がある。トレーダーは、この下落に備える手段としてNZD/USDのプットオプション(将来、あらかじめ決めた価格で売る権利)を買う戦略を検討し得る。
消費の弱さは金利デリバティブ(将来の金利変動に連動する取引)にも直結する。市場が将来のRBNZの金融緩和(利下げなど)を見込むにつれ、2年スワップ金利(2年間の固定金利と変動金利を交換する取引で参照される金利)は一段と低下しやすい。先週時点で同金利はすでに4.95%まで低下しており、年末までに50ベーシスポイント超(bp、1bp=0.01%)の利下げを市場が織り込んでいる状況を示す。
私たちは2025年にも同様の局面を記憶している。弱い小売指標が続いた後、キウイ(NZドル)は豪ドルに対して相対的に弱含んだ。当時、NZD/AUD(ニュージーランドドル/豪ドル)はその後2カ月で3%超下落した。この前例からも、NZドルの相対的な弱さに再び備える見方が支持される。
株価指数の観点では、NZX 50(ニュージーランドの主要株価指数)の見通しは一様ではない。金利低下は株式に追い風となり得る一方、小売の不振は企業の売上・利益(業績)を直接圧迫する。指数に占める比率が大きい一般消費財(景気に左右されやすい消費関連)銘柄について、プットの購入など守りを意識した戦略が選択肢となる。