ウォールシュ氏のFRB議長就任観測と米イラン緊張緩和で安全資産需要が後退、ドル指数は下落

    by VT Markets
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    May 19, 2026

    米ドル指数(DXY)は月曜日、地政学関連の動きと米連邦準備制度理事会(FRB)の議長交代への注目を背景に、99.10近辺へ下落した。ホワイトハウス当局者によると、上院が4年任期を承認したのを受け、ドナルド・トランプ氏は金曜日にケビン・ウォーシュ氏をFRB議長として就任宣誓させ、ジェローム・パウエル氏の後任とする。

    米国とイランの協議について、Axiosは米政府高官の話として、ホワイトハウスがイランの最新提案を「合意には不十分」と見ていると報じた。トランプ氏は、カタール、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)の首脳からの要請を受け、火曜日に予定していた米軍の攻撃計画を一時停止するよう指示したと述べた。

    原油制裁とドル需要

    Tasnimによると、米国は交渉中に限り、イラン産原油への制裁を一時的に緩和することを受け入れた一方、イランは全面解除を引き続き求めているという。こうした動きは、守りの資産(リスク回避局面で買われやすい資産)として保有される米ドルへの需要を一部弱めた。

    EUR/USDは1.1640近辺へ上昇し、GBP/USDは1.3420近辺で推移。USD/JPYは158.90近辺へ、AUD/USDは0.7160近辺へ上昇した。WTI原油は1バレル当たり102.30ドル近辺で横ばい、金は4,559ドル近辺を維持した。

    今後の主な発表は、豪州のWestpac(ウエストパック)消費者信頼感(家計の景況感を示す指標)とRBA(豪準備銀行)議事要旨、英国の雇用関連指標と失業給付申請(求職者関連)統計、米国のADP雇用統計(民間部門の雇用動向を示す推計)と中古住宅販売仮契約(成約前の契約件数)統計、カナダのインフレ指標(物価上昇率)で、5月19日に公表される。さらに5月22日まで、中国の政策金利、英国のインフレ指標、日本のCPI(消費者物価指数)、ドイツのGDP(国内総生産)、米国のミシガン大学消費者態度指数(消費者心理)などが続く。

    昨年以降の市場の主因の変化

    昨年は米イラン協議や原油制裁が焦点だったが、足元では世界需要の強弱がより重視されている。WTI原油は現在1バレル当たり81ドル近辺で推移し、当時の102ドル水準を大きく下回る。背景の一つは、EIA(米エネルギー情報局)のデータで先週の在庫が210万バレル増加(市場予想に反する積み上がり)したことだ。こうした環境では、米欧のPMI(購買担当者景気指数:企業アンケートに基づく景況感指標)で消費需要の弱さが確認されれば、原油価格の一段安を示唆し得るため、プットオプション(将来、あらかじめ決めた価格で売る権利。下落に備える手段)をヘッジ(損失を抑える目的の取引)として検討する余地がある。

    2025年は円安が大きく進み、USD/JPYは158.90付近まで上昇した。日銀の政策正常化(超金融緩和の縮小)への警戒が背景だったが、そのペースは当時想定されたほどではなかった。その後、日銀はマイナス金利政策(預金金利をマイナスにする政策)を終了したものの、米国との金利差(利回りの差)が依然大きく、円は押されやすく、USD/JPYは156.50近辺で高止まりしている。政府・日銀による為替介入(当局が市場で通貨を売買し相場の急変を抑える行動)のリスクが残る中、アウト・オブ・ザ・マネーのコールオプション(現値より不利な行使価格の買う権利。上昇に備えつつ支払うコストを抑えやすい)を買うことは、キャリートレード(金利の低い通貨で資金を調達し高金利通貨で運用する取引)の上昇余地を残しながら、損失上限を定めやすい手段になり得る。

    昨年の金価格は1オンス4,559ドル近辺と極めて高値で、地政学リスクへの警戒とインフレ圧力がピークにあったことを映していた。足元では2,415ドル近辺と落ち着き、金の位置づけはインフレヘッジ(物価上昇に備える資産)一辺倒から、実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いた金利)の動きに敏感な安全資産へと比重が移っている。今週は英国とカナダで主要なインフレ指標が控え、結果が予想から大きく外れれば利下げ・利上げ観測(政策金利の先行き見通し)が変わり金相場に波及し得るため、ストラドル(同じ行使価格・同じ期限のコールとプットを同時に買い、値動きの大きさに賭ける戦略)が変動を取る手段として考えられる。

    豪ドルのようなリスク感応度の高い通貨(投資家のリスク許容度で動きやすい通貨)は2025年に改善した投資家心理を背景に上昇していたが、現在は状況が複雑だ。豪ドルは全体的なリスク選好よりも、中国経済の状態に左右されやすくなっている。直近の鉱工業生産(製造業などの生産動向)データは減速が市場想定以上であることを示した。このため、AUD/USDの上昇局面を追いかけるより、オプション・カラー(コール売りとプット買いを組み合わせ、上値を一部犠牲にしつつ下値を保険で守る手法)でロング(買い持ち)を守り、中国の次回データでの悪材料に備える選択肢がある。

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