ユーロ/ドルは下落基調が継続、FRBの引き締め観測と地政学リスクでドル高に

    by VT Markets
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    May 18, 2026

    EUR/USDは6営業日続落し、週明け月曜のアジア時間は1.1620近辺で推移した。米金融政策が引き締め方向に向かうとの見方から米ドルが買われた。米連邦準備制度理事会(FRB)の複数の当局者は「インフレ(物価上昇)の抑制が最優先」との姿勢を示した。市場では、CMEのFedWatchツール(FF金利先物の価格から利上げ確率を推計する指標)に基づく12月利上げ確率が、1週間前の14%から約48%へ上昇した。

    ドルは、地政学リスクを背景とした「安全資産(不安局面で買われやすい資産)」需要でも支えられた。米国とイランは、数週間に及ぶ戦闘を終結させ、ホルムズ海峡(中東の主要な海上輸送路)を再開する合意からなお遠い状況が続く。加えて台湾をめぐる警戒も、投資家のリスク回避(リスク資産を避ける動き)を強めた。

    Market Drivers And Central Bank Signals

    EUR/USDの下落は、欧州中央銀行(ECB)が金融引き締めに前向きになるとの観測で抑えられる可能性がある。ロイターの調査では、エコノミストの85%が、6月にECBが預金金利(銀行がECBに預ける資金に適用される政策金利)を25ベーシスポイント(bp、金利の単位で0.01%=1bp)引き上げ、2.25%にする見通しを示した。4月会合前は「過半数強」にとどまっていた。

    ユーロはEUの20カ国で使われ、2022年には世界の外国為替取引の31%を占め、1日平均で2.2兆ドル超が取引された。EUR/USDはFX取引の約30%を占め、次いでEUR/JPY(4%)、EUR/GBP(3%)、EUR/AUD(2%)が続く。

    EUR/USDはドル高という大きな流れの中で上値が重い。背景には、リスク回避と、各中央銀行の金融政策の違いがある。1.1650を明確に超えられない動きは、市場が不透明感の継続を織り込んでいることを示す。

    Policy Divergence And Trading Implications

    一方、欧州ではインフレが粘着的(下がりにくい)で、ユーロ圏のHICP(消費者物価指数のユーロ圏版)最新値は前年比3.2%上昇となった。物価圧力が続くことで、ECBはタカ派(利上げに積極的)姿勢を維持しやすく、ユーロ防衛のための利上げ観測を支える。FRBの利上げが一服する一方でECBは引き締め余地がある、という政策の分岐が焦点となる。

    地政学リスクは、緊張が前年よりやや和らいでも、引き続き「安全通貨」としてのドルを支えやすい。ブレント原油は1バレル95ドル近辺で底堅く、ホルムズ海峡での海上輸送不安を映している。高いエネルギーコストが続くと、エネルギー輸入国のユーロ圏の負担は、相対的に自給度の高い米国より大きくなりやすい。

    この環境では、今後数週間も値動きの大きさ(ボラティリティ、価格変動の度合い)が続く可能性がある。デリバティブ(先物・オプションなど、価格が他の資産に連動する取引)では、ロング・ストラドル(コールとプットを同時に買い、上下どちらかに大きく動けば利益を狙う戦略)が有利になり得る。EUR/USDの3カ月オプションのインプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される将来の変動予想)はすでに8.5%へ上昇し、市場が値動きを警戒していることを示す。

    方向感を持つ場合、EUR/USDのプットオプション(一定価格で売る権利)は、地政学リスクが再燃したり、FRBが想定外にタカ派へ戻ったりした際の下振れに備えるヘッジ(損失を抑える手段)になる。逆に、コールオプション(一定価格で買う権利)は、ECBが強い姿勢を示し、FRBが据え置き(政策金利を動かさないこと)を続ける場合のユーロ反発に備える手段となる。取引のタイミングでは、ドイツと米国の重要経済指標の確認が欠かせない。

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