米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、原油の「非商業部門」(ヘッジ目的ではなく投機を主とする投資家)のネットポジション(買い持ちから売り持ちを差し引いた枚数)は169.9K(16万9,900枚)に低下した。前回は178.8K(17万8,800枚)だった。
前回比で8.9K(8,900枚)減少した。これらの数値は、CFTCに報告されるポジション(建玉)変化を示す。
投機筋ポジションの変化
原油の投機的な見方に目立った変化が見られる。非商業トレーダーが保有するネットロング(買い越し)が169,900枚まで減少し、大口資金による強気(値上がり)見通しの賭けが縮小した。約9,000枚の減少は、価格上昇への自信が弱まっていることを示す。
この動きは直近の市場データとも整合的だ。米エネルギー情報局(EIA、米政府のエネルギー統計機関)は先週、在庫が180万バレル増加したと発表した。市場予想は小幅な取り崩し(在庫減)だったため、需給の緩みを意識させやすい。また、2026年4月のドイツと中国の鉱工業生産(工場などの生産活動の強さを示す指標)はいずれも予想を下回り、世界需要への懸念が強まった。ドル高(ドルの価値上昇)も商品価格の重しで、今月のドルは1.2%上昇している。一般にドル建てで取引される商品は、ドル高で割高感が出やすい。
過去を振り返ると、2025年10~12月期にも投機筋の売りが進み、その直後に価格が約12%調整(下落)した局面があった。当時は利上げ(政策金利の引き上げ)後の景気減速懸念が背景だった。今回のネットロング減少はまだ同規模ではないが、リスクを取りにくくなる流れは似ている。
こうしたセンチメント(市場心理)の弱含みを踏まえると、今後数週間は下振れリスクを織り込んだ戦略調整が必要になる可能性がある。たとえば、アウト・オブ・ザ・マネーのプット(現値より低い行使価格の売る権利)を保険として買う、あるいはコール・スプレッド(買う権利の組み合わせで上昇分の利益を限定しつつ収益を狙う手法)を売るといった対応が考えられる。明確な支持線(下げ止まりの目安)が確認できるまで、買い持ち(ロング)を抑えるのは妥当だろう。
WTI原油は1バレル=79ドル水準を注視している。これを下回ると、テクニカル売り(チャートに基づく売り)が加速する可能性がある。次の焦点は6月上旬のOPEC+会合で、供給方針(生産量の方針)が重要になる。それまではインプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される予想変動率)が上昇し、オプションを使ったリスク管理が採りやすくなる可能性がある。