INGのエコノミストは、インドネシア中央銀行(BI)が次回会合で金融政策を引き締め方向に転じるとみている。今週、政策金利(中央銀行が景気や物価、資本流出入に影響するために設定する基準金利)を0.25%ポイント(25bp、bp=ベーシスポイントで0.01%のこと)引き上げ、通貨の安定を主目的にすると予想する。
BIの前回会合以降、インドネシアルピア(IDR)は1.5%超下落した。BIは外国為替市場(通貨を売買する市場)で介入(中央銀行が通貨を売買して相場の動きを抑えること)し、通貨への圧力を和らげようとしてきたが、下落を止め切れていない。
Bank Indonesia Rate Outlook
米国の経済指標が底堅く推移しているため、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切るとの見方が後ろ倒しになったと指摘する。これにより、インドネシアと米国の金利差(両国の政策金利などの差)が拡大し、IDRには不利に働いている。
米ドルに対しルピアが16,450を超えて下落するなか、BIの利上げの可能性を織り込み始めている。中央銀行が通貨の安定を重視していることを踏まえると、利上げは現実味を増している。市場では次回会合で少なくとも25bpの引き上げが見込まれている。
FRBが政策金利を4.75~5.00%のレンジに据え置いたことで、金利差の状況がIDRの重しになっている。この環境では、通貨を支えるはずの海外資金流入(外国人投資家による国内資産の買い)が起きにくい。実際、直近四半期の債券市場では、外国人投資家による資金流出(売り越し)の合計が12億ドルを超えた。
Market Positioning And Hedging
その結果、IDRのさらなる下落に備えるためのデリバティブ(株や金利、為替などを元にした派生商品)の需要が増えている。具体例として、USD/IDRコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で米ドルを買う権利。IDR安=米ドル高に備える手段)が挙げられる。短期のインドネシア金利上昇に備えるには、金利スワップ(固定金利と変動金利を交換し、金利変動リスクを抑える取引)でのポジションも検討対象となる。インプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される、将来の変動の織り込み度合い)は過去1カ月で8%上昇しており、市場の警戒感の強まりを示す。
この動きは、2025年半ばに見られた市場環境に似ている。当時もルピア安が進み、BIが予想外の利上げを実施して通貨は一時的に安定した。通貨安定という中央銀行の役割が脅かされる局面では、BIが強い対応に踏み切る可能性を示唆している。
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