ベーカーヒューズによると、米国の石油掘削装置(リグ)数は415基に増加した。前回(410基)から増えた。
米国の石油リグ数が415基へ増えたことは、生産企業が高い価格を受けて掘削を増やし始めたことを示す。リグ数は、数か月先の国内供給増加を先取りして示す「先行指標」(将来の動きを早めに示すデータ)として見るべきだ。これは、2026年1〜3月期以降に見られた価格上昇(ラリー)に対し、供給側が反応し始めた最初の明確な兆候である。
リグ数の増加は供給サイドの反応を示す
増加幅は小さいが、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート:米国の代表的な原油の指標)が1バレル=88ドルを上回って推移している点が重要だ。この水準は、新規掘削を促しやすい。2025年のデータを振り返ると、価格が弱い局面ではリグ数が400基を下回ったまま伸び悩んでおり、今回の動きはトレンド変化として注目される。なお、最新のEIA(米エネルギー情報局)の報告で原油在庫が120万バレル減少(在庫取り崩し)したことは、生産企業の心理変化という背景を見えにくくしている可能性がある。
デリバティブ(株式や商品などの価格に連動して値が決まる金融商品)取引では、直近限月(フロント月:満期が最も近い契約)の価格は当面支えられやすい一方、フォワードカーブ(先物の限月ごとの価格の並び)がフラット化(遠い限月との価格差が縮小)しやすい。2026年10〜12月期の契約で弱気(ベア)ポジション(価格下落を見込む持ち高)を検討する余地がある。稼働が増えたリグが実際の生産増につながり、年後半の価格を押し下げるまでの時間を見込む戦略だ。
オプション(将来、あらかじめ決めた価格で売買する権利)では、原油先物に対する長期のプット(売る権利、下落に備える)を買うのは、供給増による下落に備える手段となり得る。別案として、9月または10月満期のアウト・オブ・ザ・マネー(現状の価格では利益が出ない水準の)コール(買う権利)のスプレッドを売る(上限と下限のコールを組み合わせて売買する)ことで、上値が抑えられ始めたという見方を表現できる。この方法は、価格が横ばい、または下落した場合に利益が出やすく、市場が需給均衡に近づく局面に合う。