WTI米原油は金曜日に上昇し、執筆時点で1バレル=100.90ドル近辺で取引された。上昇率は日中で3.13%。100ドルを上回り、週内高値を更新した。
市場は、米ドナルド・トランプ大統領が中国の習近平国家主席との首脳会談後に述べた発言に反応した。トランプ氏は中国が米国産原油の購入に合意したと述べたが、中国当局は確認していない。
ホルムズ海峡の再開が焦点
2日間の会談は金曜日に終了したが、世界の原油輸出にとって重要な航路であるホルムズ海峡(中東の産油国からの輸送の要衝)の再開について、大きな発表はなかった。トランプ氏は北京が航路再開への関与を約束したと述べたが、具体的な実行内容(運用方法)は示さなかった。
供給面の不確実性(供給が減るリスク)から、ホルムズ海峡への注目は続いている。ラボバンクのアナリストは、一時的な閉鎖でもエネルギー価格を押し上げ、長期化すれば複数の産業分野で需要が弱まる可能性があると指摘した。
ラボバンクは、閉鎖が数カ月続いた場合、欧州は価格上昇(高値による需要抑制や代替調達の促進)によって実物の不足を回避できる可能性があるとした。一方、混乱が約1年に近づけば、在庫や予備供給(需給の緩衝材)が減り、航空、物流、航空貨物に依存する産業に打撃が及ぶ恐れがあると付け加えた。
需要と供給の綱引き
ホルムズ海峡を巡る緊張は、昨年と同様に主要な懸念材料となっている。最近の衛星データでは同地域で海軍の巡回が増えており、CBOE原油ボラティリティ指数(OVX、原油価格の変動見込みを示す指標)は38まで上昇し、市場の不安を映している。2025年に見られた供給途絶懸念が再燃すれば、現在の価格にリスク上乗せ(地政学リスクを織り込んだ割増)が10ドル程度加わる可能性がある。
ただし、2025年当時と比べると需要の先行きは不透明だ。中国の2026年4月の財新製造業PMI(購買担当者景気指数、50超で拡大・50未満で縮小)は50.9となり、工業の勢いの鈍化を示した。原油輸入も2カ月連続で横ばいだ。これは昨年の上昇局面を支えた強い需要見通しと対照的である。
一方、米国の原油生産は堅調で、EIA(米エネルギー情報局)が2026年1〜3月期の生産量が日量1,350万バレル超で維持されたと確認した。供給が強いことは価格の上値を抑えやすく、供給リスクと需要の弱さが拮抗する構図になっている。こうした局面では、価格が上下どちらかに大きく動いた場合に利益を狙うオプション戦略(例:ロング・ストラングル=同じ満期で権利行使価格の異なるコールとプットを同時に買う)を検討する余地がある。