USD/JPYは木曜日に158.00を上抜け、20日単純移動平均線(SMA、直近20日間の終値の平均)158.23も超え、上昇率は0.32%超となった。次の上値メド(レジスタンス、上昇が止まりやすい価格帯)は50日SMA(直近50日間の終値の平均)158.75で、その先に159.00が位置する。
過去4営業日で高値を切り上げており、足元の上昇を支えている。相対力指数(RSI、買われ過ぎ・売られ過ぎを示す指標)が50を上回り、上昇の勢いが強まっていることを示す。
介入警戒ゾーン
相場が159.00〜160.00に入れば、日本当局が動く可能性が取り沙汰される水準に近づく。この価格帯は市場介入(当局が為替市場で売買し、急激な変動を抑えようとする行動)の有無を見極めるため、注視されやすい。
USD/JPYが158.00を再び下回れば、次に意識されるのは100日SMA(直近100日間の終値の平均)157.43。弱さが続く場合は、157.00と、5月6日のサイクル安値(一定期間の流れで付けた安値)155.03が下値メド(サポート、下落が止まりやすい価格帯)となる。
米国と日本の金利差(政策金利や国債利回りの差)が続いていることが、ドル/円の押し上げ要因になっている。今週の米インフレ指標では、コアCPI(食品・エネルギーを除いた消費者物価指数)が3.2%で横ばいとなり、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げ・利上げを急がないとの見方を支えた。一方、日銀の金利は引き続きゼロ近辺にとどまる。こうした金融政策の違いにより、日米の利回り格差(国債などの利回りの差)は475bp(ベーシスポイント=0.01%)超に拡大し、円安要因となっている。
この動きは、2024年にドル/円が158.00〜160.00に接近した局面と似ている。当時も上昇の勢いは強かったが、日本当局が大規模な円買い介入(円を買って円高方向へ誘導)に踏み切り、相場が急反転した。こうした水準では、相場が短時間で反転し得る点を重要な事例として意識したい。
オプションによるヘッジ戦略
足元の上昇の勢いは強く、RSIは買われ過ぎ(上昇が行き過ぎて反落しやすい状態)の領域にある。ただし、過去に介入が起きやすかったゾーンに入っているため、警戒が必要だ。ここ1カ月では財務省のけん制発言(口先介入、発言で相場を牽制すること)が増え、当局の警戒感が高まっていることを示唆する。
デリバティブ(金融派生商品)取引では、ボラティリティ(価格変動の大きさ)の上昇に備える戦略が有効になり得る。1カ月物ドル/円オプション(将来の売買権利)のインプライド・ボラティリティ(市場が織り込む将来の変動見通し)は12%超まで上昇しており、急変への警戒が反映されている。ストラドル(同じ権利行使価格でコール=買う権利、プット=売る権利を同時に買う戦略)を組めば、上下どちらかに大きく動いた場合の利益機会を狙える。
すでにドル/円の買い持ち(ロング)ポジションがある場合は、下落リスクのヘッジ(損失回避策)を検討したい。権利行使価格が157.00近辺のアウト・オブ・ザ・マネーの円コール(円を買う権利、またはドルを売る権利=USDプット)を買うことで、当局の行動後に急落した場合の備えになる。これは、2024年の介入局面で見られた「数円規模の急落」の再現に備える保険のような役割を果たす。