ロシアの3月の貿易収支(輸出額から輸入額を差し引いた黒字・赤字)は139億6,600万ドルとなった。市場予想の118億ドルを上回った。
この結果、貿易収支は予想を21億6,600万ドル上回った。対象は3月分のデータ。
貿易黒字がルーブルに与える意味
3月の貿易黒字が予想を上回ったことは、輸出に支えられるロシア経済の底堅さを示す。これにより、ルーブル(ロシア通貨)は想定より下値が堅い可能性がある。ルーブルの売り持ち(下落を見込むポジション)については、基礎的な支えが強い点を踏まえ、見直しが必要だ。
このデータは、エネルギー市場の直近の動きとも整合する。ブレント原油(北海産の国際指標原油)の価格は2026年4月下旬から5月上旬にかけて1バレル95ドル超を維持している。ウラル原油(ロシアの主要輸出原油)の値引き幅(指標原油に対する割引)は平均18ドルだった2025年10〜12月から縮小し、12ドル程度となった。価格の強さは輸出収入を押し上げ、3月の黒字を裏付ける。
このため、今後数週間の通貨デリバティブ(通貨を対象にした先物・オプションなどの派生商品)戦略の調整を検討したい。ルーブルの下落に備えるコストのうち、USD/RUBのコールオプション(将来、一定価格で米ドルを買いルーブルを売る権利)は、実際のリスクに比べて割高になっている可能性がある。こうしたコールの一部を売る、またはルーブルが横ばい〜強含みで利益が出る取引を持つ局面かもしれない。
貿易統計は、第2四半期の主要商品(コモディティ)の強気見通しも補強する。ロシアの輸出が強いことは、主要なアジアの取引先を含め世界需要が堅調であることを示す。原油デリバティブの買い持ち(上昇を見込むポジション)を増やし、例えば7月や8月満期のブレント先物のコールオプション(ブレント先物を一定価格で買う権利)を買う選択肢がある。
地政学リスクへのヘッジの考え方
一方で慎重さは必要だ。2025年半ばには、同様に輸出が強い統計が出た直後に、船舶関連の企業などを狙った追加制裁が導入された。これによりUSD/RUBのインプライド・ボラティリティ(オプション価格から推計される市場の予想変動率)は1週間で30%超上昇した。したがって、急な地政学リスクに備え、安価なアウト・オブ・ザ・マネー(現時点では利益が出ない水準の)オプションを一部保有しておくことは妥当な戦略となる。