米ドル指数(DXY)は4日続伸し、木曜日の欧州時間は98.50近辺で推移した。ロイターが「トランプ大統領と習近平国家主席の会談は良好で、経済協力を話し合った」とホワイトハウス当局者の発言を報じた後も、動きは限定的だった。
協議では、米企業の市場参入(外国企業が現地市場で事業をしやすくすること)を拡大する計画や、中国から米国への投資を増やす方針が含まれた。また、ホルムズ海峡(中東の主要な原油輸送ルート)が開放された状態を維持する必要があること、イランが核兵器(核分裂の力を利用した兵器)を保有してはならないことでも一致した。
FRB政策見通しが変化
米国の生産者物価(企業間取引の価格)が4月に2022年以来の大幅な伸びとなり、米連邦準備制度理事会(FRB:米国の中央銀行)の金融政策見通しに影響を与えた。市場では2026年の利下げ観測(将来の政策金利引き下げの見込み)が後退し、年末までの利上げ(政策金利引き上げ)を意識する動きが広がっている。米4月小売売上高(消費動向を示す指標)の発表も控える。
生産者物価指数(PPI:企業が販売する段階の価格変動を示す指数)は前年比6.0%上昇し、3月の4.3%から加速、予想の4.9%も上回った。前月比でも1.4%上昇し、3月の0.7%から拡大、予想の0.5%を上回った。
米上院はケビン・ウォーシュ氏を次期FRB議長に承認した。市場はこの人事を、中央銀行の独立性(政治から距離を置き政策判断すること)や政治圧力への懸念とあわせて見極めている。
取引への示唆とポジショニング
当面の最大の材料はインフレ指標の強さだ。PPIが前年比6.0%上昇と急伸し、インフレが沈静化していないことを示した。これにより見通しの修正が迫られている。
その結果、今年の利下げ観測は後退し、利上げの可能性を織り込む展開になりやすい。ウォーシュ氏はインフレ抑制を重視する姿勢(タカ派:物価上昇を抑えるため金利を上げやすい立場)と見られることが多く、この見方を補強する。政策の方向転換が、今後の市場の中心テーマになりやすい。
為替では、ドル高(ドルが他通貨に対して上がること)を見込む戦略が分かりやすい。米ドル指数(DXY)のコールオプション(将来、決められた価格で買う権利)を買う、またはユーロ/ドル(EUR/USD)のプットオプション(将来、決められた価格で売る権利)を売るといった手段が考えられる。これは、米国と欧州の金利見通しの差(政策金利の方向性の違い)が広がる局面を狙うものだ。
金利市場では、利回り上昇(債券価格下落)を想定したポジションが焦点となる。SOFR(担保付き翌日物資金調達金利:米ドルの代表的な短期金利)やフェドファンド(FF金利:米国の翌日物政策金利に近い指標)に連動する先物を売り、金利上昇局面での利益を狙う戦略がある。FRB政策の織り込みが急速に修正されたことで、この流れは続きやすい。
貿易摩擦の緩和は株式に追い風だが、FRBがタカ派寄りになる可能性は不確実性を高める。方向性を決め打ちせず、変動の拡大を狙うのも手だ。VIX指数(株式市場の予想変動を示す「恐怖指数」)のコールオプションを買い、市場が高金利環境を織り込む過程で値動きが荒くなるリスクに備える戦略が考えられる。