ドナルド・トランプ氏と習近平氏の会談が予定されるなか、市場は上昇した。投資家は今回の訪中に関係する企業幹部の動向を注視している。エヌビディアは、最高経営責任者(CEO:企業の最終的な意思決定者)のジェンスン・フアン氏がトランプ氏の代表団に加わったことを受けて上昇。マイクロン、クアルコム、テスラ、ボーイングも買われた。
S&P500種株価指数とナスダック総合指数は、物価関連の指標が想定より強く(インフレ圧力が強いことを示す)、金融環境(資金調達のしやすさ)が引き締まるなかでも最高値を更新した。生産者物価指数(PPI:企業が仕入れる段階の物価の動き)が予想を上回って上昇し、国債利回り(金利の代表指標)は上昇、ドルは上伸。原油は不安定な値動きが続いた。
値動きはAI(人工知能)やハイテク関連の大型株に偏り、他の分野は出遅れた。実体経済に連動しやすい銘柄や景気敏感株(景気の良し悪しで業績が振れやすい銘柄)は下落。資金が株式に移るなか、金(ゴールド)とビットコインも下落した。
オプション取引(特定の価格で売買する権利を取引する仕組み)の活発化が、上昇の勢いをさらに強めた。コール(買う権利)への買いが膨らみ、ディーラー(マーケットメイクを担う証券会社など)がヘッジ(損失を抑えるための反対売買)を行うことで株価が押し上げられやすい。市場が織り込むトランプ—習会談前後の値動きは小幅にとどまるとの見方が示された。
注目は、米国の輸出規制がエヌビディアの「ブラックウェル」世代の半導体に及ぼす影響に集まった。年初には「H200」の販売が再開されている。通商協議では、関税、技術管理(先端技術の輸出入を制限する政策)、重要鉱物、航空宇宙分野の貿易、農産物、イラン情勢などが議題になるとみられていた。
原油は会談を前に、小幅に下落した。直前まで数日続いた上昇の反動もある。世界的な軽油(ディーゼル)不足と、その影響(貨物輸送、製造、食品流通、インフレへの波及)も意識された。中国とイランの経済関係、中国が貿易ルートとエネルギー供給の安定を重視している点が、交渉結果を左右する要因として示された。