TDセキュリティーズのグローバル戦略チームは、豪州の2026/27年度(会計年度)予算について、財政スタンス(政府の支出や減税などで景気に与える影響)がやや拡張的(景気を押し上げる方向)であり、財政運営が緩む一方、財務省(Treasury)の見通しが豪準備銀行(RBA)の想定より前向きだと指摘した。予算関連資料によれば、基礎的現金収支(Underlying cash balance:一時的要因や資産売却などの影響を除き、歳入と歳出の差を現金ベースで示す指標)は、中期見通し(forward estimates:今後数年の予算見通し)でA$450億改善する。
表面上の財政赤字(headline deficit:政府が公表する標準的な赤字指標)は、2025/26年度のGDP比1.6%から2026/27年度に2.1%へ拡大する見通し。現金ベースの表面上の赤字(headline cash deficit)は、基礎的な姿(Underlying)に比べて悪化し、従来見通しと比べ約A$64億ほど下振れすると見込まれている。
財政見通しとRBAへの含意
TDセキュリティーズは、保守的な商品市況前提(commodity assumptions:資源価格などの前提を控えめに置くこと)により、実際の赤字は見通しより小さくなる余地があるとする。さらに、財務省の見通しがRBAより実績に近いなら、RBAは金融引き締め(policy tightening:利上げなどで需要を抑え、インフレを下げる政策)を追加で行う必要が出る可能性があると付け加えた。
豪州の1-3月期の賃金は前期比0.8%上昇(市場予想0.8%、TD予想0.8%)し、前年比は3.3%となった。結果はRBAの5月公表の金融政策声明(SoMP:Statement on Monetary Policy)での予測と一致し、市場反応は限定的だった。
同ノートは、労働市場が逼迫(人手不足で失業率が低い状態)しインフレ圧力がある中でも、賃金上昇は抑制的だと述べる。またRBAの見解として、短期のインフレ期待(短期間で物価が上がるとの見方)が高まると、今後1年の賃金交渉に波及し、労働者が実質賃金(物価変動を差し引いた賃金)の維持を求めやすくなる点に言及している。