NYMEX(ニューヨーク商品取引所)で取引されるWTI先物は、水曜日のアジア時間に1.5%下落し、約97.20ドルとなった。前の2営業日で約8.5%上昇した後の反落だ。背景には、4月の米インフレ(物価上昇)指標が示した内容が、原油需要への懸念を強めたことがある。
米CPI(消費者物価指数、家計が買う商品・サービスの価格の変化を示す指標)の総合は前年同月比3.8%と、市場予想の3.7%と前回の3.3%を上回った。コアCPI(食品とエネルギーを除いた物価の基調を示す指標)は前年同月比2.8%で、予想の2.7%と前回の2.6%を上回った。
インフレ率が高いと、米金利(借入や投資の基準となる利回り)が高い水準で長く続くとの見方が強まりやすい。金利が高いと景気や燃料需要が弱まりやすく、原油価格の重しになり得る。CME FedWatch(先物市場の価格からFRBの政策金利見通しを確率で示す指標)によると、CPI発表後に「年内に少なくとも1回利上げ」の確率が23.5%から33.4%に上昇した。
価格は、米国とイランの協議が決定打を欠き、ホルムズ海峡周辺での供給混乱への警戒が強まったことも支えた。トランプ米大統領は、イランとの合意に米国は支援を必要としないと述べた。5月13〜15日の北京訪問中に、中国の習近平国家主席と協議する可能性も取り沙汰されていた。
WTI(West Texas Intermediate)は、米国産の軽質・低硫黄の代表的な原油指標で、クッシング(オクラホマ州の集積拠点)を受け渡し地点として取引される。価格は主に需給、米ドル、地政学リスク、OPEC(石油輸出国機構)の生産方針、API(米石油協会)とEIA(米エネルギー情報局)が公表する週間在庫統計に左右される。