日本のCFTC(米商品先物取引委員会)データによる円の「非商業部門(投機筋)」のネットポジション(買い建て-売り建て)は、-10.21万枚から-6.17万枚へ改善した。
この数値がマイナスであることは、投機筋が依然として円のネットショート(売り越し)を保有していることを示す。
円に向かうセンチメントの変化
米ドルに対する円の見方が変わりつつある。投機筋のネットショートが急速に縮小しており、円安予想(円売り)のポジションを買い戻す動き(ショートカバー)が進んでいる。過去1年以上で最も大きい買い戻しで、流れが変わる可能性がある。
背景には、日本銀行が金融政策の正常化(超緩和の解除)を市場想定より速いペースで進める可能性を示したことがある。2025年の慎重な進め方とは異なり、最新の全国コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)が2.6%で底堅い。秋までに追加利上げ(政策金利の引き上げ)観測が強まり、円売りポジションの見直しを迫っている。
一方、米国の経済指標は弱い。先週の雇用統計では雇用者数の増加ペースが18カ月で最も鈍化し、市場では第4四半期までにFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げ(政策金利の引き下げ)に踏み切る確率が高まっている。過去2年、円売りを後押ししてきた日米金利差(米金利が高い状態)が縮小し始めている。
デリバティブ(先物・オプションなどの派生商品)取引では、円ロング(円買い)を検討しやすい局面になりつつある。今後3〜6カ月の満期で、JPYコールオプション(円を将来、決めた価格で買う権利)やUSD/JPYプットオプション(ドル円を将来、決めた価格で売る権利)を活用すれば、この流れを狙える。オプションは最大損失を支払ったプレミアム(オプション料)に限定できる点が利点だ。
リスクと取引管理
ただし、2024年末には同様のショートスクイーズ(売り方の買い戻しで相場が急伸する現象)が、予想外に強い米インフレ指標で反転した。FRBの利下げ開始が遅れる兆しが出れば、円売りが再燃する可能性がある。このため、オプションで下振れリスクを抑える、または先物ではタイトなストップロス(損切り注文)を置くなど、慎重な運用が必要になる。