半導体指数(SOX)についての以前のレビューでは、相対力指数(RSI:一定期間の上げ下げの勢いを数値化し、買われ過ぎ・売られ過ぎを測る指標)の過去検証を用いた。その結果、将来の平均リターンは短期で-7%、中期で+15~25%、長期で-8~-26%だった。これは日次RSI5(5日RSI)とRSI14(14日RSI)がそれぞれ95、83.5を上回る局面で当てはまった。
その後、指数は4月28日の安値まで6.7%下落し、さらに4月26日の高値からは約11%上昇した。4月28日に9,865ドルを付け、その後は11,760ドル近辺で推移した。
エリオット波動原理(EWP:値動きが「5つの上昇波」と「3つの調整波」という繰り返しパターンになりやすい、という考え方に基づく分析手法)のカウントでは、この動きは「第3波の中の第3波」(赤W-iiiの中の緑W-3)が完了し、その後に緑W-4が9,700ドル±200付近で入った、と説明した。さらに、その後の緑W-5で13,000ドル超まで進む可能性を示し、その先により大きな赤W-iiiと赤W-ivの波が続き、2025年4月の安値からの上昇の後に弱気相場(ベア市場:下落基調が続く相場)に入る可能性にも言及した。
EWPは、繰り返し現れる5波動の上昇と3波動の調整を軸にした「確率的」な枠組みで、フィボナッチ比率(相場の上げ下げの目安として使われる比率)やオルタネーション(調整の形が交互に変わりやすい性質)などのルールに導かれる、と説明する。一方で、波の延長や複雑な細分化が起きると、リアルタイムでラベル(波の番号)を付け替える必要が出る、という制約もある。
赤W-iiiは終盤に近い可能性があり、緑W-5の中の灰W-vが進行中で、上値目標は12,110~12,300ドルとした。その後は、10,000ドル近辺までの押し戻し(リトレースメント:上昇の一部を下げで取り戻す動き)の確率が高まるとしている。
指数は現在、従来の目標ゾーンである12,110~12,300ドルに到達しているが、上昇局面には息切れの兆しが出ているとみる。デリバティブ(先物・オプションなどの派生商品)取引では、強気戦略の見直しや、プットオプション(将来の一定価格で売る権利)またはベア・プット・スプレッド(プットを組み合わせ、下落局面の利益を狙いつつコストと損失を限定する戦略)で下方向への備えを検討する局面になり得る。こうした手段は、10,000ドル方向への調整を想定した場合に、損失をあらかじめ限定しながら収益機会を狙える。
この見通しを補強する材料として、ミシガン大学消費者信頼感指数が76.5と前月(79.4)から低下したこと、また主要な半導体流通業者の在庫データで供給が需要に追いつき、価格の上昇圧力になっていた要因が弱まったことが挙げられる。
市場が転換すると、変動性(ボラティリティ:価格の振れ幅)が大きくなりやすい。恐怖指数と呼ばれるVIX(S&P500オプションから計算される予想変動率)が13近辺の低水準にある一方、上昇余地も意識される。予想変動率(インプライド・ボラティリティ:オプション価格に織り込まれた将来の変動見込み)が上がるとオプションは割高になりやすく、相対的に安い局面での構築が有利になり得る。