米国の消費者信用残高(家計向けの借入残高の合計)が3月に248.6億ドル増加した。市場予想は125億ドルの増加だった。
発表値は予想を123.6億ドル上回った。増加幅は予想の約2倍となる。
成長とインフレへの含意
3月の消費者信用残高が予想以上に強かったことは、景気が減速しているという見方(景気減速シナリオ)に疑問を投げかける。予想を大きく上回る数字は、個人消費がなお底堅いことを示し、物価上昇圧力(インフレ圧力)を強めやすい。米連邦準備制度理事会(FRB:米国の中央銀行)は、この種のデータが続く限り、近い将来の利下げ(政策金利を引き下げること)を正当化しにくい。
市場はすぐに反応した。7月のFOMC(米連邦公開市場委員会:FRBが金融政策を決める会合)までに利下げが実施される確率は、先月は50%超だったが、今週は15%未満に低下した。この変化は、「金利が高い状態が長く続く(higher for longer)」局面に強い取引を検討すべきことを示す。例えばSOFR先物(翌日物の米ドル資金調達金利SOFRを基準にした金利先物)を売る、という発想がある。これは、インフレが予想を上回り続け市場対応に苦労した2025年の状況に似ている。
株式市場にとっては、判断を難しくする材料となり、今後数週間は変動(ボラティリティ)が高まりやすい。個人消費の強さは企業利益を支える一方、金利高が続く見通しは株価の割高感(バリュエーション:利益や金利に対する株価水準)に重しとなる。VIX(株式市場の予想変動率を示す指数)は、比較的落ち着いた14前後で推移してきたが、市場が新たな状況を織り込む過程で10%台後半まで上昇を試す可能性がある。
消費関連(一般消費財)ETFのオプション(将来の売買権利)では取引が増える可能性があるが、慎重に見たい。
今後の家計・信用ストレスのリスク
今回のような信用の拡大は、2024年にクレジットカード残高が初めて1.1兆ドルを超え、その後に延滞率(支払い遅れの比率)が上昇した流れを想起させる。足元の消費は強い一方、年後半には金融面での負担(信用ストレス)が表面化する可能性があるため、金融セクター(銀行など)では将来の悪化に備える必要がある。