日本のマネタリーベース(現金と金融機関の当座預金など、日銀が供給するお金の総量)が4月に前年同月比11.3%減少した。市場予想は10.5%減だった。
結果は予想より0.8ポイント弱い。すなわち、マネタリーベースの縮小が想定以上に進んだ。
日銀の資金吸収(流動性の引き揚げ)
日銀は市場が見込んでいた以上のペースで資金を吸収している。これは金融引き締め寄りのサイン(ハト派=緩和寄りの反対であるタカ派=引き締め寄り)といえる。マネタリーベースの縮小は、日銀が政策の正常化(超緩和から通常の運営へ戻すこと)に本腰を入れつつあることを示す。為替や株式市場での取引機会につながり得る、基調の変化とみられる。
このデータは円高の根拠を強め、足元で165付近のドル円(USD/JPY、米ドルと円の交換比率で、上昇は円安・下落は円高)には下押し圧力となり得る。日本のコアインフレ率(生鮮食品など変動が大きい品目を除いた物価の伸び率)が2026年4月に2.1%となったことで、円安を正当化しにくくなっている。ドル円の下落に備える手段として、ドル円のプット(一定価格で売る権利)や、円先物(将来の円の売買価格を決める取引)のコール(一定価格で買う権利)といった選択肢が考えられる。
株式投資家にとっては、想定以上に進む金融引き締めが日経平均株価(Nikkei 225)に逆風となる。指数が過去最高に近い4万2000付近で推移するなか、資金が市場から引き揚げられることで、下落(反落)の影響を受けやすい。今後数週間に備え、日経平均のプロテクティブ・プット(保有株の下落を損害保険のように抑える目的のプット購入)で守りを固めるのは妥当な戦略となり得る。
また、この積極的なバランスシート縮小(中央銀行資産の圧縮、つまり市場への資金供給を減らすこと)は、現在の政策金利0.25%から、3四半期末までに追加利上げが行われる可能性を高める。2025年に日銀がこの局面で慎重だったことは、市場の疑念を招いた経緯がある。過去2年続いたインフレの粘着性(下がりにくさ)と円安が、より強い政策対応を迫っているようだ。