USD/SEKは、米ドル全般の弱さを背景に下落した。スウェーデンの4月のインフレ鈍化(物価上昇の勢いが弱まること)は市場予想を下回り、リクスバンク(スウェーデン中央銀行)の利上げ観測を後退させた。
スワップカーブ(将来の金利水準について市場が織り込む見通しを示す指標)は低下し、リクスバンクが示す政策金利の見通しに近づいた。3月の金融政策報告では、政策金利を2026年10-12月期(第4四半期)まで1.75%に据え置き、その後2028年1-3月期(第1四半期)までに0.25%ポイント(25bp=ベーシスポイント、金利の単位で0.01%)引き上げて2.00%とする経路が示されている。
リクスバンクは次回会合で政策金利を1.75%に据え置くとの見方が大勢だ。これが実現すれば、5会合連続の据え置きとなる。
インフレ鈍化が進んだにもかかわらず、スウェーデンの実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いた値)はプラス圏にある。実質金利がプラスであることは、スウェーデンクローナを下支えする。
足元のUSD/SEK下落は米ドル安が直接の要因だが、クローナの基礎的な支えは国内要因にある。スウェーデンの4月インフレ率は1.1%と大方の予想を下回り、リクスバンクが政策金利を1.75%で据え置く根拠を強めた。スワップ市場(将来の金利水準を取引で織り込む市場)では、この長期の据え置きが完全に織り込まれた。
この環境は、実質金利がプラスである点でクローナに優位性をもたらす。政策金利1.75%に対しインフレ率が1.1%のため、スウェーデンの実質利回り(実質金利と同趣旨の指標)は+0.65%と比較的高い水準となる。これは、最近のデータに基づく米国の実質利回り(+0.30%程度)より魅力的だ。
デリバティブ(金融派生商品)取引では、リクスバンクが明確で安定した政策経路を示していることから、今後の通貨ボラティリティ(価格変動の大きさ)は低下しやすい。こうした局面では、EUR/SEKなどでオプション(一定の価格で売買する権利)を売る戦略が検討対象となる。市場が落ち着けば、オプションの時間的価値が減る(プレミアムの減少=タイムディケイ)ことで収益機会が生まれやすい。中央銀行は2026年後半まで、金利の上振れリスクを実質的に抑えている。