USD/CHFは2日続落し、水曜日は0.7790近辺で推移、前日比0.50%安となった。市場がリスクを取りやすい(株式などのリスク資産を買いやすい)状態に傾き、米ドルは上値が重かった。
この動きは、米国とイランの「一定の理解」に向けた進展報道を受けたもの。Axiosは、両国が将来の核協議の枠組みとなり得る「覚書(MoU:当事者間で大枠の合意事項を確認する文書)」に近づいていると伝え、米ドルの「安全資産としての買い(有事に資金が集まりやすい動き)」が弱まった。
中東関連の見出しがリスク心理を左右
米国防長官ピート・ヘグゼス氏は、約1カ月前の停戦が維持されていると説明。マルコ・ルビオ国務長官は、米国の攻勢作戦は終了したと述べた。ドナルド・トランプ大統領は、合意成立の可能性を見極める間、ホルムズ海峡での船舶護衛作戦を一時停止すると発表した。
一方でトランプ氏は、イランが合意に応じなければ「より高いレベル」で爆撃を再開すると述べ、市場心理の改善を抑えた。
米経済指標では、ADP(民間雇用統計、民間部門の雇用増減を推計)が4月の民間雇用者数が10.9万人増(予想9.9万人増)と発表。ただ、リスク選好の改善が優勢となり、ドルは弱含んだ。
スイスの4月インフレ率(消費者物価の前年比上昇率)は0.6%と、3月の0.3%から加速し、SNB(スイス国立銀行)の見通し0.5%を上回った。中東情勢を背景としたエネルギー価格上昇が主因。
リスク選好がドルを圧迫
リスク選好の改善が米ドルの重しとなっている。ワシントンと北京の高官協議で貿易摩擦の緩和が意識され、投資家は安全資産(リスク回避局面で買われやすい資産)から距離を置いている。これが今週の市場心理を主導している。
こうした環境では、主要通貨ペアの「インプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算した将来の変動見通し)」が低下する可能性がある。ただし当局者発言で心理は反転しやすく、「ショート・ストラドル(同じ満期・同じ行使価格でコールとプットを同時に売り、値動きが小さいほど利益になりやすい手法)」のような「ボラティリティ売り」はリスクが高い。米ドル安に備えるなら、USD/CHFのプットオプション(定めた価格で売る権利)を買う方が分かりやすい。
スイスフランは基調として底堅い。4月のインフレ率は1.4%とSNB予想をやや上回り、前年の0.6%も大きく上回った。これにより、SNBがフラン安を狙って市場介入する(通貨高を抑えるために売買を行う)可能性は低下し、USD/CHFの下押し要因になる。
市場は堅調な米指標をあまり材料視していない。地政学を優先する流れは、投資家が「ヘッドライン・リスク(報道見出しで相場が急変するリスク)」を重視すべきことを示す。
そのため、足元のサポート(下値支持)を下回る行使価格の短期のUSD/CHFプットオプションの購入が選択肢となる。最近の安値を割り込む展開もあり得る中、オプションは損失上限を限定できる手段。期間は2週間〜1カ月程度が次の値動きを捉えやすい。