ラボバンクのFX戦略チームは、英国の景気減速と労働市場の緩みを踏まえると、今後1年でイングランド銀行(BoE)が最大3回利上げするとの市場織り込み(市場参加者が金利先物などの価格に反映している想定)は高すぎると指摘した。同社は、今年のBoEの政策金利変更は1回にとどまると予想している。
イラン戦争の開始当初、市場の織り込みは「年内利下げ」から「最大4回の利上げ」へと急転した。足元でも、市場は1年先で3回利上げとなるリスクを残している。
Looser Labour Market Reduces Hike Risk
英国の労働市場は今年に入り緩みつつあり、労働力の余裕(企業が人手不足で賃金を大幅に上げる必要がない状態)が広がっていることを示す。これにより、賃金上昇などが物価上昇を再び押し上げる「第2ラウンド効果」(いったん高まった物価が賃金上昇を通じてさらに物価を押し上げる連鎖)のリスクは低下する。BoEの利上げ回数が「1回程度」へ見直される(再織り込みされる)局面では、英ポンドが弱含みやすい。
ラボバンクの中心シナリオは、9〜12カ月の期間でユーロ/ポンド(EUR/GBP)がじり高となる見通しだ。
EURGBP Outlook And Positioning
このマクロ環境を背景に、ユーロはポンドに対して底堅い。過去9カ月でEUR/GBPは、2025年半ばの0.8600近辺から、足元では0.8850前後まで上昇している。BoEは4月会合で政策金利(主要金利)を5.50%に据え置き、これで3会合連続の据え置きとなった。
英国の成長が弱く、1〜3月期GDP(国内総生産、国の経済規模を示す指標)の速報値が0.1%のマイナス成長となったことを踏まえると、EUR/GBPは上昇しやすい局面が続く。今後数週間の戦略としては、3〜6カ月満期のEUR/GBPコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格でユーロを買い/ポンドを売る権利。支払うプレミアムの範囲に損失が限られる「損失限定」の手段)の買いで、緩やかな上昇継続に備える選択肢がある。これは、ポンド安の進行から利益を狙いつつ、想定外の動きに対する損失を限定できる。
ポンド建て資産の為替リスクを抑えたい場合は、フォワード(為替予約、将来の特定日に現時点で決めたレートで通貨を交換する契約)で、現在の水準に近い条件で将来の「ポンド売り/ユーロ買い」を固定する方法が考えられる。これにより、想定されるポンドの緩やかな下落に備えられる。足元では、ユーロがポンドに対して強含むとのファンダメンタルズ(景気・物価・金利などの基礎条件)に基づく見方は維持されている。