ニュージーランドの失業率は第1四半期に5.3%となった。市場予想の5.4%を下回った。
第1四半期の失業率5.3%は、労働市場(働き手の需給状況)が想定より引き締まっていることを示し、景気の底堅さを示唆する。引き締まりが続くと賃金上昇圧力(人手不足で賃金が上がりやすい状態)が残りやすく、物価上昇(インフレ)を押し上げる。結果として、ニュージーランド準備銀行(RBNZ:同国の中央銀行)は、これまで考えられていた以上に長く高金利(引き締め的な金利水準)を維持する可能性が高い。
RBNZ政策への含意
この強い雇用指標は、2026年の第1四半期のインフレ率が粘着的な3.8%となり、なおRBNZの目標レンジを大きく上回ったことが確認された数週間後に出てきた。RBNZは2026年2月の前回会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR:中銀が設定する短期の基準金利)を5.50%に据え置き、引き締めを続ける姿勢を強調した。今回のデータは今後数週間、RBNZのタカ派的な見方(インフレ抑制のため高金利を優先する姿勢)を一段と後押ししそうだ。
近い将来の利下げを見込む取引は、早急に見直す必要がある。市場は初回利下げの時期を後ろ倒しし、今年第3四半期見込みから2027年初めへと先送りする可能性がある。デリバティブ(金融派生商品:株や金利などを元に作られた取引)では、金利スワップ(金利の支払いを固定と変動で交換する契約)で固定金利を支払うポジションを取り、金利高止まりに備える戦略が有利になりやすい。
この環境はニュージーランドドル(NZD)に追い風だ。高金利が続く見通しは海外投資家にとって通貨の魅力を高めるためで、利下げを示唆する中央銀行を抱える通貨に対して、NZDは相対的に上昇しやすい。取引面では、NZDのコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格でNZDを買う権利)を買うことで、上昇局面に備える手段になり得る。
2025年後半には、同様に景気の底堅さが市場予想を上回り、相場が大きく振れた。当時は早期利下げを織り込んだポジションが多く、強い指標を受けて急速に手仕舞い(保有ポジションの解消)を迫られた。今回の雇用指標も、市場が想定するほど景気が減速していないことを示すシグナルとみられる。