BJP(インド人民党)は西ベンガル州で歴史的な伸長を見せ、アッサム州では3期目の政権を獲得した。タミル・ナドゥ州とケララ州でも勢力図の変化が確認された。選挙は西ベンガル州、タミル・ナドゥ州、ケララ州、アッサム州、プドゥチェリーで実施された。
州政府の予算では近年、福祉支出や人気取りの支出(短期的な支持拡大を狙う給付・補助)が増えている。これにより、FY26(2026年度)とFY27(2027年度)にかけて財政赤字比率がGDP比3%の目安を上回り、州開発貸付(State Development Loan:州政府が発行する債券)と国債の利回り差(スプレッド)も拡大している。
選挙公約は今年、州財政への圧力をさらに強める見通しだ。市場が財政リスク(財政悪化による利回り上昇や信用不安)をどう評価するかに影響し得る。
公共支出と結びつく分野として、鉄道、インフラ、防衛(国防関連支出)、産業向け電化(工場・産業用の送配電・電化投資)、港湾、製造業が注目セクターに挙げられる。分析では、ブレント原油(国際指標となる北海産原油)の価格、エルニーニョ(海面水温の変化に伴う異常気象で、インドでは降雨・農業・物価に影響し得る)、債券利回り上昇によるインド資産へのリスクも参照した。
与党の政治的影響力の拡大(2025年の州選挙での伸長後も明確)は、政策の継続性(方針が急に変わりにくい状態)が続く兆候とみる。この長期トレンドは、政府支出に連動しやすい特定セクターを強気(上昇)で見る材料になる。デリバティブ(先物・オプションなどの派生商品)取引では、インフラや製造業に連動する指数の長期のコールオプション(将来、一定価格で買う権利)を選好する根拠が強まる。
鉄道、インフラ、防衛は引き続き、政府の継続的な重点配分の恩恵を受けやすい。FY27の連邦予算(Union Budget:中央政府の予算)もこの流れを維持し、鉄道向けに過去最大の3兆ルピーを配分した。これは数年来続く資本支出(設備投資的な支出)拡大の延長線上にある。トレーダーは、主要な受益企業である大手エンジニアリング企業や資本財(設備・機械)企業の先物(将来の売買価格を今決める契約)で強気ポジションを検討したい。
一方、人気取り支出による州レベルの財政赤字拡大という以前からの警戒は現実化しており、明確なリスクとなっている。インド準備銀行(RBI:中央銀行)の最新データによれば、FY26の州合計の財政赤字はGSDP比3.4%に達した。GSDP(州内総生産:州のGDPに相当)は州経済の規模を示す指標で、目標を上回る赤字は財政運営への不安を強める。こうした圧力は、州関連企業(州政府の支援を受ける企業)やそれらの債務(社債など)に値動きの大きさをもたらす可能性がある。
債券市場ではすでに表面化している。10年の州開発貸付(SDL)と中央政府証券(国債)との利回り差は、2025年末以降さらに15bp(ベーシスポイント=0.01%)拡大した。これは市場が州債務のリスク上昇を織り込み始めていることを示す。金利先物(将来の金利水準を取引する先物)は、利回り上昇に備えるヘッジ(損失を抑えるための取引)や、上昇を見込む取引に使える。
また、外部リスクへの備えも必要だ。ブレント原油が足元で1バレル90ドル近辺にあり、輸入額の増加とインフレ(物価上昇)への圧力が大きな懸念となる。インドルピー、または原油に敏感な業種(塗料、航空など)に対するプロテクティブ・プット(保険のように下落に備えるプットオプション=一定価格で売る権利)の購入は妥当な戦略となり得る。