米国の3月新築住宅販売(季節調整済み年率)は前月比で68.2万件に増加した。
市場予想は66.8万件で、結果は予想を1.4万件上回った。
インフレと景気への示唆
3月の新築住宅販売が予想を上回ったことは、米国景気が底堅いことを示す。新築住宅販売は「新しく建てられた住宅がどれだけ売れたか」を示す指標で、家計の購買意欲(需要)の強さを映しやすい。金融環境(借入金利の上昇など)が厳しくなっても需要が保たれている可能性があり、物価上昇率(インフレ)が想定ほど早く落ち着かないリスクを意識させる。
この住宅指標に加え、4月の雇用統計で失業率が3.7%で横ばいだったこと(失業率は「働く意思がある人のうち職がない人の割合」)もあり、米連邦準備制度理事会(FRB、米国の中央銀行)には利下げ判断を先送りしやすい環境となる。利下げは「政策金利(中央銀行が景気や物価を調整するための基準となる金利)を下げること」で、資金調達コストを下げ景気を支える狙いがある。一方で、インフレが高止まりする局面では利下げを急ぎにくい。市場では夏の利下げ観測が後退し、早期利下げへの見方が弱まっている。
デリバティブ(株価指数や金利などをもとに価格が決まる金融商品)を扱う投資家にとっては、高金利が続く展開を想定した構えが意識されやすい。例えば短期米国債先物のオプション(将来の売買価格をあらかじめ決める権利)でプット(下落に備える権利)を売る戦略は、利回り(債券の収益率)が大きく低下しない(=債券価格が急上昇しない)ことを見込む場合に用いられる。ただしオプション売りは損失が拡大し得る。CBOEボラティリティ指数(VIX、S&P500の予想変動率を示し「恐怖指数」とも呼ばれる)は15前後で推移しており、市場の警戒感は強くないものの、FRBがより引き締め姿勢(タカ派=インフレ抑制を重視し高金利を容認)を示せば、変動が大きくなる可能性がある。