EUR/GBPは月曜日、中東情勢の緊張による市場の値動きの大きさ(ボラティリティ)上昇と、英国政治の先行き不透明感を背景に上昇した。相場は日中安値0.8629を付けた後、0.8645近辺で推移した。
Axiosによると、アラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ(Fujairah)で、イランの無人機(ドローン)攻撃後に石油関連施設で火災が報告された。イランのファルス通信は、ジャスク(Jask)近海で米海軍艦船にミサイル2発が命中したと伝えた一方、米当局者は艦船は被弾していないと否定した。
地政学リスクと原油高ショック
EUR/GBPは、米国とイランの戦争開始以降、ホルムズ海峡を通る海上輸送(シッピング)が妨げられたことを受けて下押し圧力を受けてきた。ホルムズ海峡は世界の原油供給の約20%が通過するとされる。英国はユーロ圏より輸入エネルギーへの依存度が低いと説明されている。
市場の織り込み(市場価格に反映されている見通し)は、原油高がインフレ(物価上昇)リスクを高めることで、英中銀(イングランド銀行、BoE)と欧州中央銀行(ECB)の金利差が広がる可能性を示している。英国のインフレ率はBoEの目標である2%を上回る一方、ユーロ圏の物価上昇圧力も強まっているが、比較的落ち着いていると報じられている。
市場は、両中銀とも少なくとも2回の利上げ(政策金利を引き上げること)を見込んでいる。英国では木曜日に地方選挙が予定されており、労働党は、辞任が出るか、同党議員(MP)の少なくとも20%の支持があれば党首選が始まる可能性がある。
金融政策の差と売買への影響
この金融政策の差は直近データでも裏付けられる。2026年4月までの1年間で、英国のコアインフレ率(変動の大きい食品・エネルギーを除いた物価上昇率)は3.5%と高止まりしている。対してユーロ圏のコアHICP(調和消費者物価指数=EUで基準をそろえた物価指数)は2.4%まで低下しており、ECBがBoEより先に利下げ(政策金利を引き下げること)に動けるとの見方が強まっている。こうした基礎的な環境(ファンダメンタルズ)から、EUR/GBPは下方向に動きやすい状況が続く可能性がある。
デリバティブ(金融派生商品)取引では、現物(スポット)では戻り局面で売りを検討しつつ、オプション(将来の売買権利)で見出しニュースによる急変リスクを管理する戦略が考えられる。地政学的緊張が高い局面では、インプライド・ボラティリティ(オプション価格に含まれる将来の値動き予想)が長期平均を上回りやすい。例えば、EUR/GBPのアウト・オブ・ザ・マネー(現値から離れた)コールオプション(買う権利)を売る戦略は収益機会になり得るとされる。
ただし、金利差がすでに相当程度織り込まれている場合、英国の経済指標が予想外に悪化すれば急反転のリスクがある。短期のプットオプション(売る権利)の購入は、リスクを限定しながら下落トレンドへの参加を狙う方法になり得る。2022年に意識された0.8300付近の支持線(サポート)に向けた下落を想定する一方、相場の雰囲気(センチメント)が変わった場合の損失を抑えやすい。
また政治面では、労働党が2025年5月の地方選で苦戦して以降、市場の関心は次回総選挙へ移っている。世論調査では与党のリードが縮小しており、この政治の不透明感がポンドの重しになる可能性がある。したがって、EUR/GBPの基本的な売り方針を取る場合でも、状況に応じたヘッジ(損失を抑える取引)を検討する必要がある。