欧州時間の月曜、原油価格は中東の緊張が高まっているとの報道を受けて上昇した。WTI(米国産の代表的な原油)は1バレル103.50ドル近辺と、当日比約4%高。ブレント(北海産の国際指標)は112ドルと、4.1%高となった。
イランのファルス通信は、ホルムズ海峡を通過しようとした米軍艦が、イランの警告を無視した後にミサイル2発で狙われ被弾したと報じた。イラン国営テレビは、当該軍艦は引き返し、海峡に入らなかったと伝えた。
市場の反応と価格変動(ボラティリティ)
まず重要なのは報道内容の確認だ。初動の見出しは市場の過剰反応を招きやすい。原油オプション(将来の売買価格をあらかじめ決める権利)の「インプライド・ボラティリティ(市場が織り込む将来の値動きの大きさ)」は急上昇し、コール(買う権利)を単純に買う戦略はコストが高くなりやすい一方、当たれば利益も大きくなり得る。2022年初のウクライナ侵攻後には、OVX(CBOE原油ボラティリティ指数=原油オプションから算出する不確実性の指標)が数週間で2倍超に上振れした。
焦点はホルムズ海峡だ。ここは「チョークポイント(物流が集中し、止まると供給に大きな影響が出る要所)」で、世界のエネルギー供給に直結する。最新のEIA(米エネルギー情報局)のデータでは、昨年この海峡を通過した原油は日量約2,100万バレルで、世界の1日消費量の約2割に相当する。全面または一部の封鎖が起きれば、供給が短期間で大きく減る。
注目すべきはブレントとWTIの「フォワードカーブ(先物の限月ごとの価格の並び)」だ。供給不安が強まると「バックワーデーション(近い期日の価格が遠い期日より高い状態)」が急に強まり、目先の供給不足への警戒を示しやすい。2026年1-3月にかけて世界の在庫が小幅に減っていた状況もあり、神経質になりやすい。「期近(最も近い限月)と6カ月先の価格差」は、パニックの兆候を測る指標になる。
一方、2019年のサウジ施設攻撃では、価格は急騰したが、復旧が進むと2週間ほどで上げが一巡した。今回も限定的な衝突で、長期の封鎖に至らないなら、上昇は短命に終わる可能性がある。先行きが見えるまで、先物をそのまま買い持ちするより、「コールスプレッド(安い権利行使価格のコールを買い、高い権利行使価格のコールを売ってコストと損失を抑える戦略)」でリスクを区切る方が現実的だ。
精製マージンと製品スプレッド
これは原油だけの話ではない。精製マージン(製油所の利益の出やすさ)の上昇も焦点となる。「クラックスプレッド(原油をガソリンや軽油に変えて売る際の採算を示す価格差)」は、原料の混乱への懸念から拡大しやすい。強気見通しを表現する手段として、ガソリンや軽油など製品の先物・オプション(将来の売買の権利)を使う選択肢もある。