ユーロ圏のセンティックス(Sentix、投資家心理調査)投資家信頼感指数は、4月の-19.2から5月に-16.4へ改善した。先行き期待指数は-15.5から-11.3へ上昇し、現況指数も-22.8から-21.5へ持ち直した。
ドイツのセンティックス指数は、4月の-27.7から5月に-30.9へ低下した。センティックスは、ドイツが「政府危機」にあり、他国とは異なる景気の道筋をたどっていると指摘した。
市場の反応と背景
発表後、EUR/USD(ユーロ/米ドル)は目立った動きはなく、1.1720近辺で推移し、日中ほぼ横ばいだった。
振り返ると、2025年のこの時期は、ユーロ圏全体の投資家心理が弱い一方で、ドイツはそれ以上に悪かった。欧州最大の経済であるドイツが、ユーロ圏全体の足を引っ張っている状況を示しており、好材料が出ても疑い深く受け止められやすい環境だった。
一方、足元では状況が変わりつつある。ドイツ企業景況感を示すIFO(イフォ)企業景況感指数が3カ月連続で改善し、89.4まで上昇した。企業景況感指数は、企業への調査を基に景気の良し悪しを測る指標で、数値の改善は景気悪化への見方が弱まっていることを意味する。これにより、ドイツ景気の悲観が底打ちし始めた可能性がある。
この改善傾向に加え、ユーロ圏のインフレ率(物価上昇率)が2.4%で落ち着いていることから、ECB(欧州中央銀行)の利下げ観測が来月に向けて強まりやすい。利下げは政策金利(中央銀行が景気・物価を調整するために動かす基準金利)の引き下げを指し、景気を支える方向に働きやすい。市場参加者は、金利先物(将来の金利水準を織り込む先物取引)で利下げをどう織り込むか確認し、ポジション調整を意識したい局面となる。これは、1年前の不透明感とは対照的だ。
この流れを踏まえると、昨年大きく出遅れた欧州株の回復を見込む考え方が出てくる。DAX(ドイツ主要株価指数)やEURO STOXX 50(ユーロ圏主要50銘柄の株価指数)といった株価指数のオプション(将来、一定価格で売買する権利)を使い、低金利化とドイツ指標の改善による反発局面を狙う手段が考えられる。2025年当時より前向きな前提になりやすい。
通貨の変動性と取引の考え方
為替では、ECBと他の中央銀行の金融政策の方向性の違い(金融政策の乖離)が、EUR/USDなどの変動を大きくする可能性がある。価格変動の拡大を見込むなら、ストラドル(同じ権利行使価格でコールとプットを同時に買うオプション戦略)を用いて値動きの拡大に備える選択肢がある。これにより、昨年のような小さな反応より大きな振れを想定しやすくなる。