金は先週、4510から反発した後、レンジ内で推移している。原油高はインフレ見通し、米連邦準備制度理事会(FRB)の見方、金利予想(市場が見込む将来の政策金利)に影響し、金価格を左右し得る。
原油価格の下落は市場心理(リスクに前向きか慎重かの度合い)を改善したものの、原油水準は依然として高い。金の上値がさらに伸びるには、地政学リスクの緩和、原油安、FRB見通しのハト派化(利上げに慎重で、利下げに前向きな姿勢)が必要になりそうだ。
金(ゴールド)短期テクニカル見通し
日足では弱めの下向きの勢いが示唆され、RSI(相対力指数:買われ過ぎ・売られ過ぎを測る指標)の上昇も一服している。短期は持ち合い(一定の値幅での横ばい)が続く可能性が高い。
下値支持は4510と4452。4452はフィボナッチ23.6%(過去の値幅に対する戻り・押しの目安)に当たる。上値抵抗は4670(1月高値から3月安値への戻り38.2%)と、4850/4860。4850/4860は50日移動平均線(過去50日平均価格)とフィボナッチ50%に重なる。
金は4510からの反発後、持ち合い局面にある。今後数週間は材料が強弱入り交じるため、レンジ継続が中心シナリオだ。注目すべき主要レンジは、下値の4510近辺から上値の4860近辺。
FRBの金融政策は、インフレの粘着性(下がりにくさ)と原油高で見通しが難しい。2026年4月のCPI(消費者物価指数:家計が買うモノ・サービスの価格動向)は前年同月比3.6%と市場予想を上回り、FRBが近くハト派へ転じる可能性は低い。金利見通しの不透明感は、金の強い上昇を抑えやすい。
オプション戦略の考え方
高い原油価格も引き続き材料で、WTI原油(米国の代表的な原油指標)はOPEC+(主要産油国の協調体)による減産維持を受け、1バレル85ドル超で底堅い。地政学的な緊張は残るが、金を新たな上放れ(レンジを抜けて上昇加速)に導くほどの大きな悪化は現時点で見られない。リスクの明確な後退があれば、金はより安定しやすい。
持ち合いを前提にするなら、オプションのプレミアム(オプション価格)を受け取る売り戦略が選択肢になる。想定レンジの外側に売り建てを置くアイアン・コンドル(コールとプットのスプレッドを組み合わせ、一定レンジ内なら利益を狙う戦略)として、例えば6月満期で4450以下にプット、4860以上にコールの売りを置く形が考えられる。金がレンジ内に収まれば、時間的価値の減少(時間の経過でオプション価格が減りやすい性質)を収益化できる。
CBOEゴールド・ボラティリティ指数(GVZ:金の予想変動率を示す指数)は直近で3カ月ぶり低水準まで低下しており、プレミアム売りを後押しする。予想変動率(インプライド・ボラティリティ:オプション価格から逆算される将来の変動見込み)が低いと、ショート・ストラングル(コールとプットを離れた行使価格で同時に売り、レンジ内を狙う戦略)も組みやすい。一方で、将来のブレイク(レンジ離脱)を狙うオプション買いも相対的に割安になるため、新たな材料が出た場合は戦略の切り替えが必要だ。
2025年第3四半期にも、金が約2カ月にわたり狭いレンジで推移したことがある。あの局面は、予想外にハト派的な中央銀行声明をきっかけに急騰して終わった。FRB関係者の発言のトーン変化には注意したい。