米ドル指数(DXY)は金曜日、2週間ぶりの安値となる98.00近辺まで下落し、前日の下げを拡大した。来週は、パキスタンを介した米国・イラン協議と、雇用統計(最終的に非農業部門雇用者数=NFP)に注目が集まる。
金曜日はレイバーデー(労働者の日)で休場が多く材料難だった。一方、米ISM製造業PMI(製造業の景況感指数)は52.7と、市場予想の53を下回った。主要中央銀行は、物価上昇(インフレ)圧力が高止まりする中で、利下げに慎重な姿勢を維持した。※「タカ派」は利下げに慎重で、金利を高めに保ちやすい立場。
市場の関心は重要指標へ
イランは新たな交渉提案をパキスタンに送った。パキスタンは米国との協議を仲介しているが、内容は明らかにされていない。イラン外相はサウジアラビア、カタール、トルコ、イラク、アゼルバイジャンの外相らと電話会談を行った。
EUR/USDは、ECB(欧州中央銀行)が政策金利を据え置いた後、1.1780近辺まで上昇した。一方、米国はEU(欧州連合)からの自動車・トラックへの関税を15%から25%へ引き上げると発表した。GBP/USDは、ドル安を受けて1.3630付近まで上昇した。
USD/JPYは、日本の市場介入(政府・日銀による為替売買で相場を動かす措置)後に160.00から156.60へ急落したあと、下げ止まった。東京都区部CPI(消費者物価指数)の生鮮食品を除く指標は1.9%(前回2.3%)、総合指数は1.5%(前回1.4%)だった。
AUD/USDは、火曜日のRBA(豪準備銀行)会合を前に0.7220付近へじり高となった。豪PPI(生産者物価指数)は3%と、前回(または市場見通し)3.5%を下回った。金(ゴールド)は4,630ドル近辺、WTI(米国産の代表的な原油指標)は1バレル98.50ドル近辺まで下落した。
重要イベントは5月4〜8日に集中し、ECB・FRB(米連邦準備制度理事会)関係者の発言、RBA政策発表、米ISM非製造業(サービス業)指数、JOLTS(求人件数)、ADP(民間雇用統計)、新規失業保険申請件数、米NFPが予定されている。原油在庫はAPI(米石油協会)とEIA(米エネルギー情報局)が公表し、両者の数字は約75%の確率で誤差1%以内に収まることが多い。
2026年5月の市場環境
2026年5月に向かう中、市場環境は前年と大きく異なる。米ドル指数は104.50近辺で底堅く推移しており、2025年5月に見られた98.00近辺の弱さから大きく変化した。FRBが金利を高水準で維持するとの見方が強く、市場が織り込む利下げ回数が減っていることが背景にある。※「織り込む」は、将来の見通しがすでに価格に反映されている状態。
昨年の主題だった米国・イランの和平協議は、2025年後半に交渉が停滞して注目度が低下した。ホルムズ海峡で緊張が再燃し、WTI原油は1バレル105ドル近辺で推移している。昨年、和平成立期待で99ドルを割り込んだ局面とは対照的だ。※「デリバティブ」は先物・オプションなどの派生商品。エネルギー市場は値動きが荒くなりやすく、緊張激化で急騰リスクがある。
為替では、EUR/USDは1.0720近辺で、ドル高とユーロ圏の景気不安が重しとなっている。2025年に1.1780付近まで上昇した局面とは異なり、当時はEU車関税をめぐる米国の圧力も不透明感を招いていた。来週はECB関係者の発言が多く、金融政策の方向性(トーン)の変化を見極めるうえで重要となる。
GBP/USDも1.2550近辺まで下落し、ドル高の影響を受けている。昨年、世界的なリスク選好(投資家がリスク資産を買いやすい心理)への期待で1.3600を上回った楽観は後退した。米NFPが強ければ、ドル優位が一段と意識される可能性がある。
円をめぐる状況も慎重な判断が必要だ。USD/JPYは再び158.00水準を試している。2025年同時期には、日本当局の介入で160.00付近から急落した経緯がある。※「オプション」は一定価格で買う/売る権利。要人の口先介入(発言によるけん制)が増えており、急変動に注意したい。
金は足元で4,150ドル前後と、昨年インフレ懸念が強かった局面で付けた4,630ドル付近の高値から下落している。4月のCPI(消費者物価指数)でインフレ率が2.8%まで鈍化し、利息が付かない金の魅力がやや低下した。今後の米雇用関連指標が、この流れが続くかを左右する。