アイルランド中央銀行総裁で欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのガブリエル・マクルーフ氏は金曜日、エネルギー価格の上昇による「間接的な影響」を監視すると記した。これらは生産・輸送・サービスの各分野を通じて、コスト増による物価上昇(コストプッシュ型インフレ:原材料やエネルギーなどの費用増が価格に転嫁されること)を強め得るという。
また、賃金を通じた「二次的な影響」(第二ラウンド効果:コスト増→物価上昇→賃上げ→さらなる物価上昇という連鎖)は、欧州では賃金改定の時期が企業・業種ごとにずれるため、表面化まで時間がかかる可能性があると指摘した。さらに、インフレ期待(人々や企業が将来の物価上昇をどう見込むか)について、中央銀行の目標から外れていく兆候(期待のアンカー外れ)に注意すべきだとした。
Energy Prices And Cost Push Inflation
ユーロ相場はこの発言に大きく反応しなかった。報道時点でEUR/USDは1.1755近辺で0.2%高。背景には米ドル安があった。
当局は、エネルギー高が生産・輸送・サービスでコストプッシュ型インフレを生んでいる点を注視している。ユーロ圏の2026年4月の速報インフレ率は2.8%と市場予想を上回り、物価上昇圧力がなお強いことを示した。これにより、経済全体に波及する間接的な影響への関心が再び高まっている。
2025年の大きな変動を振り返ると、エネルギー価格の急上昇は影響が長く続きやすい。足元では、オランダTTFの天然ガス先物(欧州のガス取引で指標となる価格)がこの1カ月で15%超上昇しており、懸念が再燃している。こうした投入コスト(生産に必要なエネルギーや原材料の費用)の増加は、最終的な商品・サービス価格に転嫁されつつある。
従来は距離のある懸念だった賃金を通じた第二ラウンド効果が、現在は最大の焦点になっている。2026年1〜3月期のデータでは、交渉で決まる賃金の伸び(協約賃金)が4.2%に加速し、基調的な物価(コアインフレ:エネルギーや食品など変動の大きい項目を除いた指標)を押し上げている。今後はインフレ期待が目標から外れていないか、より注意深い監視が必要となる。