RaboResearchによると、イングランド銀行(BoE)は政策金利(中央銀行が設定する基準の金利)を据え置いた。姿勢について「警戒しつつ慎重」と表現し、ベイリー総裁は「アクティブ・ホールド(据え置きのまま、経済指標を厳しく監視し、必要なら迅速に動く運用)」と呼んだ。
この姿勢は、根強いインフレ(物価上昇)リスクを管理しつつ、景気や雇用の弱さにも配慮する狙いだ。報告書は、これらのリスクのバランスが現在の政策判断を左右しているとする。
Bank Of England Active Hold
RaboResearchは、6月に金融政策委員会(MPC:BoEの政策決定メンバー)で、より多くの委員が引き締め寄り(利上げなど、物価抑制を優先する姿勢)に傾く可能性があるとみる。ただし、湾岸地域の緊張に伴うエネルギーコスト上昇が、英国の物価全体に波及するかどうかに左右されるという。
BoEは「アクティブ・ホールド」を示しており、当面は金利を据え置く一方で、指標を極めて厳格に点検している。これは、根強いインフレを抑えながら、英国経済の減速を避けるという綱渡りだ。重要指標の結果次第で、市場の見通しが急に変わり得る局面となっている。
当社は、6月会合で利上げを支持するMPC委員が増えると予想する。ただし確実ではなく、中東の地政学(国際政治と地理条件が市場に与える影響)に大きく依存する。焦点は、ホルムズ海峡周辺の緊張(原油輸送の要衝での不安)がエネルギーコストを持続的に押し上げ、英国の物価上昇を広げるかどうかだ。
Energy Prices And Uk Inflation
2025年末時点で、北海ブレント原油は1バレル=約85ドルで推移していたが、今年は上昇が目立つ。湾岸地域での散発的な衝突で95ドルを上回り、きょう(2026年5月1日)時点では、変動しやすい92ドル前後で取引されている。こうした外部要因による急騰は、BoEが警戒する「外からの衝撃」に当たる。
月内に公表予定の4月の英国インフレ指標は重要だ。前回の消費者物価指数(CPI:家庭が買うモノやサービスの物価の平均的な動き)は3.1%と高止まりしており、エネルギー・輸送コスト上昇で次回は3.3%へ上振れする可能性がある。エネルギーを除いた物価(コアインフレ:一時的に動きやすい品目を外し、基調を見る指標)も高いままなら、利上げ観測が強まりやすい。
デリバティブ(金融派生商品)取引では、今後数週間で英ポンドの変動が大きくなる可能性がある。ハト派(利下げや据え置きに前向きな姿勢)の中央銀行を持つ通貨に対し、ポンドのコールオプション(将来、決められた価格で買う権利)を買うことは、予想外の引き締め方向の展開に備える手段になり得る。GBP/USD(ポンド/米ドル)のオプションの期待変動率(インプライド・ボラ:市場が見込む値動きの大きさ)を見ると、市場の警戒度合いを把握しやすい。
金利市場では、SONIA先物(英ポンドの翌日物金利SONIAを基にした金利先物。将来の政策金利見通しを反映しやすい)を注視している。中東情勢がさらに悪化すれば、近い期限のSONIA先物が売られやすく(価格下落=想定金利上昇)、引き締め確率が織り込まれやすい。
ただし、英国景気が想定以上に失速し、BoEが据え置きを続けるリスクも残る。失業率は4.5%へ上昇し、製造業PMI(購買担当者景気指数:企業の購買担当者への調査で景気の強弱を示す)も50をわずかに下回り、軽い縮小を示した。利上げを見込む取引では、雇用と景気指標の弱さが最終的にBoEを動けなくする可能性も織り込む必要がある。