アラブ首長国連邦(UAE)で金価格が金曜日に下落した。FXStreetのデータによると、金は1グラムあたり544.87UAEディルハム(AED)と、木曜日の545.87AEDから値を下げた。
1トラ(中東・南アジアで使われる金の重量単位)あたりの価格は6,355.23AEDと、前日の6,366.94AEDから低下した。ほかの表示価格は、10グラムで5,448.68AED、1トロイオンス(貴金属の国際取引で用いられる重量単位)で16,946.79AEDだった。
Uae Gold Price Snapshot
FXStreetは、国際金価格を米ドル/ディルハム(USD/AED)の為替レートとUAEの計量単位に換算している。数値は公表時点の市場レートを用いて日次更新されるが、実際の店頭価格はわずかに異なる場合がある。
中央銀行は金の最大保有者だ。ワールド・ゴールド・カウンシル(World Gold Council)によれば、中央銀行は2022年に1,136トン(約700億ドル相当)を外貨準備(外貨や金などの準備資産)の一部として積み増し、過去最高の年間購入量となった。
金は米ドルや米国債(米政府が発行する債券)と逆方向に動きやすく、株式などのリスク資産(景気や投資家心理で価格が変動しやすい資産)とも反対に動くことがある。価格を動かす要因には、地政学リスク、景気後退懸念、金利、米ドルの動きが含まれる。金はドル建てで取引されるため、ドル高は金に下押し圧力、ドル安は押し上げ要因になりやすい(XAU/USD)。
今回の小幅下落は、金に追い風となる要因が多い中での短期的な変動に過ぎない。今後数週間は、米国の利下げ時期やペースへの見方、中央銀行の堅調な需要が焦点となる見通しだ。こうした環境は価格変動(ボラティリティ)を高めやすく、デリバティブ(先物・オプションなどの派生商品)取引に機会をもたらす。
Key Market Drivers Ahead
米連邦準備制度理事会(FRB)は2024年の利上げ以降、政策金利を据え置き、フェデラルファンド(FF)金利(米国の代表的な短期政策金利)は5.50%近辺にある。市場の関心は、減速する景気を支えるための利下げの開始時期とペースに集中している。利下げは、利息を生まない資産である金を保有する「機会費用(他の利回り資産を持てないことによる不利)」を下げるため、金にとって追い風になりやすい。
この見通しは米ドルの重しにもなっており、ドルは2025年の高値圏から上昇一服となっている。ドル指数(DXY、主要通貨に対する米ドルの強さを示す指数)は102近辺のレンジで推移しており、利上げ局面のピーク時に見られた強い水準からの変化が大きい。一般にドル安は金価格の支援材料となる。
市場を下支えしているのが、中央銀行による継続的な買い(準備資産としての積み増し)で、2025年にかけてこの動きは加速した。ワールド・ゴールド・カウンシルは、中央銀行が昨年さらに合計1,050トンを追加したとした。特に新興国(経済成長途上の国・地域)での需要が強く、価格の下値を支え、大きな下落局面では買いが入りやすい状況を示している。
ここ数年から続く地政学的緊張の中で、安全資産(不確実性が高まる局面で買われやすい資産)としての金の役割は重要だ。紛争の激化や政治不安の拡大があれば、急騰につながる可能性がある。そのため、金の上昇を見込むポジションを一部保有することは、ヘッジ(損失を抑えるための対策)として有効になり得る。
トレーダーにとっては、コールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)を買う、またはブル・コール・スプレッド(複数のコールを組み合わせ、上昇を狙いながらコストとリスクを抑える戦略)を組むことが、上昇余地を狙いつつリスクを限定する手段となり得る。大きな下落局面では、キャッシュ・セキュアード・プット(現金を確保したうえでプットを売り、下落時は買い受ける前提の戦略)も選択肢になる。中央銀行の買いによる下支えと変動の大きさを活用する考え方だ。相場は上方向を意識しつつも、値動きは荒くなりやすい。