英国の5月7日の地方選では、イングランドで5,000超の自治体議席が改選となる。加えて、スコットランド議会とウェールズ議会は全議席が対象だ。結果次第では、スターマー首相への政治的圧力が強まり、労働党内での党首交代(党内で指導者を替える動き)リスクが高まる可能性がある。
労働党は、今回改選となる自治体議席のおよそ半分を保有している。支持率が低下するなか、選挙戦では大幅な議席減に見舞われる恐れがある。
選挙後の立て直しと政策の方向性
選挙後、スターマー氏は内閣改造(担当閣僚の入れ替え)による立て直しを図る可能性がある。政策面では、EU(欧州連合)との関係をより深める方向や、成長を押し上げる施策に軸足が移る可能性がある。
仮に後継候補が浮上した場合、市場は財政計画と予算規律(借金を増やし過ぎない姿勢)を重視して評価する。英国債(Gilt、ギルト=英国政府が発行する国債)の利回りは、各候補の経済政策に対する市場の信認を測る指標として注視されるだろう。
ポンドの値動きとデリバティブ(金融派生商品)のポジション
政治不安は為替市場にも波及しやすい。注目されるのは、GBP/USD(英ポンド/米ドル)の3カ月物オプション(将来の為替レートに備える権利取引)で示されるインプライド・ボラティリティ(市場が織り込む先行きの変動率)だ。これは、ポンド急落への備えをどれだけ求めているかを映す。オプション市場の動きは、政治不安の再燃を先読みする材料になり得る。
また、デリバティブを使い、ポンド安局面で利益を狙う(または下落に備える)構えは続く可能性がある。例えば、ユーロや米ドルに対するポンドの下落を想定した取引が選択肢となる。
こうした環境下では、ギルト利回りの変動が急に大きくなるリスクにも備える必要がある。ギルト先物オプション(国債先物を対象にしたオプション)を使い、ストラドル(同じ行使価格の買いと売りを同時に持つ)やストラングル(異なる行使価格の買いと売りを同時に持つ)を組む方法がある。これは方向を当てにいくのではなく、価格が大きく動けば利益機会が出やすい戦略で、重要な財政発表前の急変に備える手段となる。